2021 Fiscal Year Research-status Report
Is the third minamata disease an "illusion"?
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19K00286
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
高峰 武 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40834172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 ゆかり 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10548564)
田尻 雅美 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70421336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水俣病像 / 医学 / 汚染 / 拡大 / 政治 / 苛性ソーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
公式確認から66年目を迎える水俣病問題で、大きな転換点となったと思われるのが1973年に起きた第三水俣病事件である。 直接的には熊本大学医学部の研究班が、天草郡有明町に「水俣病類似患者がいる」と報告したことに始まるが、その波紋は極めて大きなものがあった。第三水俣病とは熊本、新潟に続く三番目の水俣病という意味である。熊本大学の指摘に対して、当時の環境庁の検討委員会は指摘を否定、「水俣病患者はいなかった」とした。こうしてこの第三水俣病事件は終わるのだが、この過程で、全国各地から「水俣病類似患者」の報告が相次いだほか、政府は苛性ソーダ製造過程で水銀を使用しない工法への転換を強力に指導、また魚介類の安全基準を新たに設けるなどの対策をとった。こうした政府の対応は極めて異例のことであった。この政府の対応の背景には何があったのか。また環境庁の委員会の否定の考えは、その後の水俣病の認定基準の変更へ向かう大きな流れとなった。 研究はこの事件の全体像を明らかにしようとするものだが、2021年度もコロナ禍のために、予定していた県外の関係者へのインタビューを大幅に縮小せざるを得なかった。しかし、熊本県内にいる事件関係者へのインタビューや資料収集は予定通り進めることができた。またこれまで収集した資料の整理も大きく進んだ。引き続き、インタビューと資料収集、整理を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集と整理、分析は順調である。コロナ禍で予定していたインタビューが実施できなかたところがあるので、今後、実施のための工夫を凝らしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した資料の分析、整理に力を入れたい。特に医学や行政といった項目ごとの整理を進めていく。また関係者へのインタビューを精力的に進めたい。関係者の高齢化も顕著なのでとりわけ力を入れたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために関係者のインタビューができなかったことが一番の原因である。2022年度は精力的に関係者へのインタビューを行うと同時に、資料収集にも計画性を高めて取り組みたい。また整理のスピードアップを図る。
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Research Products
(8 results)