2020 Fiscal Year Research-status Report
Leprosy and medicine-Research to clarify the relationship between leprosy isolation policy and medicine-
Project/Area Number |
19K00289
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 修一 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40559522)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣野 喜幸 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (90302819)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ハンセン病 / 隔離政策 / ハンセン病医学 / アーカイブス / 公衆衛生政策 / 近現代ハンセン病アーカイブス / 沖縄のハンセン病 / 療養所機関誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近現代のハンセン病資料のアーカイブスを進展させた。具体的には荒川巌(元松丘保養園園長)資料の目録作成と資料のデジタル化(1476件)、大平馨(元多磨全生園園長)資料の目録作成(1500件)を完了させた。また目録とデジタルデータのハイパーリンクを行い、データベース化した。 この他、Web公開型学術データベースである「近現代ハンセン病資料アーカイブス」へのデータ追加、機能拡張を進展させた。松丘保養園機関誌「甲田の裾」のデータベース化を完成させ、「甲田の裾電子図書室」公開の準備を行い公開直前まで仕上げた。「甲田の裾電子図書室」は「近現代ハンセン病資料アーカイブス」に公開することを目的に開発を進めた。 これらのデータは現在、構築の進んでいる「国立感染症研究所ハンセン病資料アーカイブス」(非公開データベース)へ収納した。 また、学術誌へのハンセン病資料のアーカイブスにより、本土復帰前の沖縄への厚生省によるハンセン病医療援助の展開の内容と戦後の沖縄のハンセン病の流行状況、外来診療制度の展開、軽快退所制度などの状況と問題点などの情報を多くの人々へ提供し、ハンセン病政策の実態、疫学状況の理解を進めた。この他、奄美大島で行われているハンセン病回復者を中心とする市民啓発運動「ハンセン病文庫友の会」を調査し、その活動を学術誌に発表し、新しい啓発活動の在り方を考察した。 今年度までの近現代のハンセン病資料のアーカイブスの進展により、今後、学術的に大きな貢献が可能なデータベースの完成が見えて来るとともに、ハンセン病の実態、ハンセン病政策の実際、隔離政策進展の要因、維持の要因などこれまで不明瞭であった事象の解明が大きく進展するものと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荒川巌資料、大平馨資料の目録完成により、これまでにその存在が明らかとなっていなかった多くの資料の存在を確認できた。また、これらを学術資料としてデータベース化することにより多くの知見を明らかにする道筋が見えた。 「近現代ハンセン病資料アーカイブス」の公開の進展により多くの方々にハンセン病を理解していただくためのシステムの運用が軌道に乗った。 この他、「甲田の裾電子図書室」の完成は療養所機関誌のデジタル化、データベース化の初めての事例でもあり、今後、ハンセン病の啓発、学術研究にも大きな貢献をするものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究はハンセン病隔離政策の成立、維持の要因を近現代のハンセン病資料の収集、研究、データベース化により明らかにする事、これらの事から、この様な悲劇を過ちを繰り返さない教訓とすること、これらの資料を未来への遺産とすることにある。 これからデータベース化をさらに進展させ、「国立感染症研究所ハンセン病資料アーカイブス」およびweb公開型学術データベース「近現代ハンセン病資料アーカイブス」を充実させ、ハンセン病の社会啓発、学術研究の進展に寄与すると共に、ハンセン病隔離政策の成立、維持の要因を明らかにする研究を進める。
|
Causes of Carryover |
年度末納品等にかかわる支払いが令和3年4月1日以降となったため。 当該支払い分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和2年度分についてはほぼ使用済みである。
|
Remarks |
近現代のハンセン病資料を公開し、学術研究の進展とハンセン病の社会啓発に貢献することを目的としたweb公開型学術データベースである。本データベースは「国立感染症研究所ハンセン病資料アーカイブス」から学術的価値が高いもの、公開可能なものを公開している。
|
Research Products
(4 results)