2021 Fiscal Year Research-status Report
国語科文学教育における創作理論と読解理論の相関研究
Project/Area Number |
19K00292
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西田谷 洋 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (70378230)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 創作指導 / 続編創作 / 翻案創作 / 情緒 / シナリオ / 作者 / 読者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文学教育における創作理論の研究という視点から二十一世紀の国語教育・日本近代文学研究の読解理論を検討し創作理論の充実を図ることを目的とする。本研究では、創作技法が読者への効果を発揮するためには読解を想定した技法の運用が必要であり、読解理論と創作技法の連携が教育効果、創作の完成度が上がることから、効果的な技法の運用とその手順に関わる教育内容の検討とその充実を図る。そのため、創作理論の使用時に読解理論をいかに効果的に組み込むことができるかを解明することが目的である。 本年度では、前年度に続き、研究計画の骨子となるような実践報告・実践案を提示しつつ、各論として、指導要領や小説作法書の検討を行った。具体的にはまず第一に、小説創作作法書の読者意識を検討した論考を収録した論文集を刊行した。第二に、指導要領の検討から文学国語の創作観の情緒への傾斜を確認し、そうした情緒性を重視する創作観の背景にアメリカ映画のシナリオ作法の効果意識を探った。第三に、物語教材の読解で得た知見をもとに続編創作を行い、また作品の翻案過程を読解することで、それもとにして自らが創作する翻案案を提示した。翻案は創作を創作者の独創性の発現ではなく読解による変形・改変の表出として捉えることを可能にする。その点で、翻案による創作はこれまでの創作の蓄積をふまえ、かつまた読解力も育成しつつ、創作技能を高めうる方法であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの感染拡大による遠隔授業対応、他大学との共同教育課程の改組への準備作業が突然生じ、大幅にそれらに時間をとられ、三年次に予定していた詩作やメディア変換、あるいは情緒以外の観点の創作理論の検討作業が不十分となったため
|
Strategy for Future Research Activity |
三年度に研究範囲の精選を行ったが、当該年度では実施できなかった他ジャンルの創作作法、情緒以外の創作観の検討、また翻案のモデルとして小説と映画の比較等の作業を行い、総論・修正となるような論文集の刊行を目指す。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍と改組による繁忙によって当初の研究計画が実施できなくなったため研究期間の延長を行ったため。これにより、次年度の物品費(図書)や講演会に回すことで研究計画の充実を図れる。
|
Research Products
(3 results)