2019 Fiscal Year Research-status Report
近代寺院資料の基礎的研究―宝珠院所蔵資料を起点として―
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19K00310
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤巻 和宏 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00468878)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 寺院資料 / 文化財保存 / 真言密教 / 近代学問 / 宗教と社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は8月から2月にかけて、計7日間の宝珠院調査をおこなった。その際、調査協力を依頼した研究協力者は、石原知明、柏原康人、吉田唯の3名。調査内容は、これまでの調査で作成した目録の点検作業の進捗に合わせて現物確認の必要な典籍を再調査(書誌・撮影)しつつ、本研究課題の主題である近代資料を全点撮影することである。近代資料は文字通り明治期以降のものに限定せず、幕末のものも含めている。また、研究遂行上の必要に応じて、近代資料以外のものも何点か撮影した。宝珠院所蔵資料の全体から見ると、近代資料の割合はそれほど大きくなく、今年度の調査で全ての近代資料の撮影を終了する予定であった。しかし、単純に近代か前近代かという時代だけで区分できないものや年代不明のものもあり、また、典籍を収蔵した木箱が新たに一点発見されたこともあって、全点撮影の終了には至らなかった。 また、こうした作業と平行し、昭和後期に宝珠院調査をおこなった郷土史家(田中方男氏、大阪天満宮調査との関連で宝珠院調査をおこなう)による調査報告書簡の整理を柏原康人に、これまでの宝珠院調査の成果に基づく典籍目録の点検作業を吉田唯に依頼した。 加えて、宝珠院所蔵資料の伝来や性質を明らかにするための参考資料とすべく、他寺院所蔵資料のマイクロフィルムのデジタル化を専門業者に依頼した。他寺院調査チームとの情報共有も随時進めているが、それ以外にも多くの寺院資料との関わりを明らかにする必要があるため、こうしたデータの確保は必須である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
典籍を保管した木箱が新たに一点発見され、かつ、そこに収蔵される資料がすべて近代のものであったため、単純に撮影対象点数が増えたのみならず、新たに書誌記録を取る必要が生じたため。また、研究協力者のスケジュールが合わず、調査協力を依頼できた人数が少なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの近代資料の撮影をしつつ、新発見の木箱に収蔵される典籍文書類の書誌記録を取ることが先決であるが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、調査が行えるかどうか現時点では不確実である。調査が行えない場合は、目録の点検作業や、すでに撮影済みの資料の確認等、実地調査をせずとも進められる作業を優先する予定である。
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Causes of Carryover |
受け入れ機関では、調査の際の旅費を人件費としてまとめて計算するため、旅費は0となっている。かつ、本年度は研究協力者の調査協力を得にくく、特に東京・福岡在住の研究協力者の都合がまったく合わなかったため、人件費(旅費を含む)も予定よりも大幅に下回っている。調査回数が少なかった分は次年度に挽回したいと思うが、新型コロナウイルス感染症が終息しない限りそれも難しい。研究協力者に自宅でできる作業を依頼する機会が増えると思われるので、人件費の使途は主にそれになると予想される。また、マイクロフィルムのデジタル化も引き続き依頼する予定である。
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Research Products
(4 results)