2020 Fiscal Year Research-status Report
近代寺院資料の基礎的研究―宝珠院所蔵資料を起点として―
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19K00310
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤巻 和宏 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00468878)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 寺院資料 / 文化財保存 / 真言密教 / 近代学問 / 宗教と社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウイスル感染症の影響で、一度も実地調査を行うことができなかった。やむを得ないことではあるが、実地調査なしでできることとして、これまでの書誌調査記録の点検が中心的な作業となった。点検作業は、これまでの実地調査にも同行していた研究協力者の吉田唯に依頼した。 本課題の目的を達成するためには、宝珠院所蔵資料のうち、近代に書写・刊行された資料を全点撮影し、詳細な書誌情報を記録する必要がある。しかし、実地調査を行えない状態でできることは非常に限られており、新型コロナウイルス感染症の終息がいまだ見通せないことを勘案するに、宝珠院所蔵資料を基盤とする研究とは別の方向性を模索する必要も感じている。よって、宝珠院と他寺院との関わりや、他寺院所蔵資料から判明する情報の把握が、これまで以上に重要となってくる。そのため、すでに入手している他寺院所蔵資料のマイクロフィルムをより簡便に利用・共有すべく、専門業者にデジタル化を依頼した。これによって、他寺院所蔵資料の分析をある程度進めることができた。 なお、昭和後期に宝珠院調査をおこなった郷土史家(田中方男氏、大阪天満宮調査との関連で宝珠院調査をおこなう)による調査報告書簡が宝珠院に所蔵されている。昨年度、このデータ整理を研究協力者の柏原康人に依頼しており、今年度はその分析をある程度進めることができた。とはいえ、書簡による非常に断片的な報告であり、調査の全貌が見えないことと併せ、多くの課題が残っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れが生じた最大の理由は新型コロナウイスル感染症の拡大である。年度内に一度も実地調査が行えず、寺院資料調査に基づく本課題にとっては致命的である。 また、過去の書誌調査記録の点検を今年度の中心的作業に据えたとはいえ、不審点があっても資料現物を確認しなければ解決できないことも多く、実地調査ができない状況が続く限り、非常に不自由な状態で継続してゆくほかない。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で新型コロナウイルス感染症が終息する見通しもなく、このまま実地調査を行えない状態が続くとしたら、研究の方向性を大きく変更するしかない(もちろん採択されたテーマの範囲内で)。 調査が行えない場合は、目録の点検作業や、すでに撮影済みの資料の確認等、実地調査をせずとも進められる作業をひとまずは優先するが、一方で、宝珠院所蔵資料そのものではなく、関連寺院の資料、あるいは近代寺院資料全般という枠組みで本課題を遂行してゆくことになるだろう。
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Causes of Carryover |
受け入れ機関では、調査の際の謝金にかかる交通費を人件費としてまとめて計算するため、旅費は0となっている。かつ、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響でまったく実地調査を行えなかった。昨年度末の支払いの一部は今年度予算から支出しているが、それを含めても、人件費(交通費を含む)は予定を大幅に下回った。調査回数が少なかった分は次年度に挽回したいと思うが、新型コロナウイルス感染症が終息しない限りそれも難しい。研究協力者に自宅でできる作業を依頼する機会が増えると思われるので、人件費の使途は主にそれになると予想される。また、マイクロフィルムのデジタル化も引き続き依頼する予定である。
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Research Products
(2 results)