2019 Fiscal Year Research-status Report
近世後期における地方歌壇の和歌文学研究 ー山形県庄内地方を中心にー
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19K00316
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤田 洋治 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (60165397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 正幸 大正大学, 文学部, 准教授 (10644635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近世後期庄内歌壇 / 服部正樹 / 『古今老のすさび』 / 『後撰老のすさび』 / 『拾遺老のすさび』 / 和歌注釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
(山形県の日本海側に位置する庄内地方では、近世後期から和歌創作が盛んになっていった。その庄内歌壇の特徴は、和歌創作だけでなく、和歌文学の研究に進んだことにある。庄内歌壇の歌人・服部正樹によって著された三代集(古今和歌集・後撰和歌集・拾遺和歌集)の注釈書『古今老のすさび』『後撰老のすさび』『拾遺老のすさび』は鶴岡市立図書館に所蔵されているものの、全く調査されることがないまま現在に至っている。その注釈内容を確認するための作業として、初年度は後撰和歌集の注釈書である『後撰老のすさび』の翻刻を実施する予定で研究に入った。 『後撰老のすさび』(全7冊)は、北村季吟『八代集抄』はもちろん、文化九(1811)年刊行の『後撰集新抄』をも参考にして、さらに自説で補った注釈書であることが翻刻の中で明らかになった。結果的に『後撰老のすさび』の全文翻刻までは至っていないが、数ヶ月ほどの遅れで完了する予定である。 また、庄内歌壇の注釈の特徴を探るために、服部正樹の師匠筋に当たる歌人・白井固の百人一首の注釈書『百首略解』の翻刻・解題を「『百首略解』の翻刻と考察-近世後期庄内歌壇の側面-」と題して、『山形大学紀要(人文科学)』第19巻第3号(p23~61)に掲載したが、さらにこの『百首略解』の注釈の特徴と白井固のもう一つの注釈である古今集注釈のまとめである『古今和歌集遠鏡補正』(中村知至著)を対象に改めて論文化して、庄内歌壇の注釈の特質を明確にしたい。また『後撰老のすさび』については、和歌文学会で今秋発表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた研究協力者が病気のため、入院・手術・加療でほぼ一年間活動できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
『後撰老のすさび』の翻刻を完了し次第、『拾遺老のすさび』の翻刻を開始し、今年度中に『拾遺老のすさび』の翻刻を完了する。また、服部正樹の注釈に先行する白井固の注釈の特徴を論文化し、『後撰老のすさび』に関しては、今秋の和歌文学会で発表する予定である。 当初計画していた研究協力者の体調が戻った場合は、この研究に参加してもらう予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画していた研究協力者が病気のために協力を得ることが出来なかったために、予算を少し変更したため。
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