2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00331
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土佐 朋子 佛教大学, 文学部, 准教授 (00390427)
井實 充史 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20277776)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 懐風藻 / 8世紀日本の文筆活動 / 日本漢文 / 日本書紀 / 漢文伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度初めから新型コロナ感染症の拡大傾向が顕著となり、4月にオンラインで1回だけ定例の研究会を開催した後は、予定していた研究会活動は、一時期完全に停止した。その後、大学図書館等が徐々に利用再開となったことを受けて、10月よりオンラインによるかたちではあるが、研究会も再開した。今年度、研究会で検討対象となった作品は、次のとおりである。 4月「釈弁正伝」(李満紅)、10月「大友皇子伝」(高松寿夫)、11月「大津皇子伝」(土佐朋子)、2月「石上乙麻呂伝」(顧サンサン)、3月「釈智蔵伝」(荒川聡美) 当初の予定の半分しか注釈作業が前進しなかったことは極めて残念であるが、残るのは散文(詩人伝・詩序)5作品であり、次年度前半でひととおり検討し終えることは可能である。並行して、過去の研究会における意見を踏まえた注釈の改稿原稿も、比較的順調に集まっており、次年度中に詩については、すべての改稿原稿を揃えることも可能であると見込んでいる。 注釈を作成する過程で得た新たな知見について、分担者それぞれの立場から論文等として成果を発信することもできた。今年度の定例研究会における検討対象はすべて詩人伝部分であったが、そこでの検討を通して、『日本書紀』等の記述を意識しながらの『懐風藻』独自の詩人伝の構想・表現について、理解を深めることができたし、その知見を広く学界にも提供することができたと思う。また、分担者の一人である土佐朋子編になる『校本懐風藻』の刊行は、今後の懐風藻研究にとって必読の文献となることと思われる。 学会参加や文献調査のために見込んでいた予算がほとんど費消できなかったこともあり、予算を使い切らずに次年度へ繰り越したが、次年度にはすべて使い切ることができる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響による遅滞はいかんともしがたい。しかし、そのような状況の中でも可能な限り研究の推進に努めた。次年度中には、当初の計画の最終段階まで進めることは可能であると見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度後半の取り組みによって、コロナ禍の状況においても研究を進める手立てはつかめたと考えている。それに則りつつ、なお工夫を加えて、研究を進めて行く。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、文献調査・学会参加のための出張ができなかったことが最大の原因であった。次年度、状況が好転すれば、研究出張を再開したいと考えるし、それが実現できなくとも、オンライン研究会用の用品の購入、諸機関所蔵資料の写真・紙焼き等の請求によって、使い切ることは可能と考えている。
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Research Products
(9 results)