2021 Fiscal Year Research-status Report
帝国日本の書物流通ネットワークと知の文化基盤に関する調査および総合的研究
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19K00343
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比 嘉高 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80334019)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内山書店 / 内山完造 / 北京 / 企業整備 / 共同仕入体 / 読者隣組 / 統制経済 / 南洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においても、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究活動が制限された。昨年に引き続き、予定していた調査出張は、国内国外ともにすべて取りやめ、所属大学の図書館や資料の取り寄せ、個人的な蔵書、すでに収集してきた資料によって研究を進めた。2021年度の研究としては、次の3つがある。(1)外地書店の引揚げについての短い論考の発表。「外地書店を追いかける(14)――本屋の引揚げ 上海・内山書店と内山完造」を公刊した。これは、上海の内山書店およびその経営者である内山完造の戦中および引揚げ、そして戦後について調査考察したものである。(2)内地外地をまたいだ自身の書物研究の概要とその価値を説いた英語の論文の発表を行った。これは米国の日本文学研究の学会の予稿集PAJLS (Proceedings of the Association for Japanese Literary Studies)に発表したものである。"Inheriting Books: Overseas Bookstores, Distributors, and Their Networks."(3)戦時下における内地外地の書店の転廃業について論考をまとめ、公刊した。「戦時下における内地外地の小売書店―企業整備、共同仕入体、読者隣組」。統制経済、戦時経済下での企業整備が主たる対象となった。(4)学会発表として、「アジア太平洋戦争下における南洋の日本書店と書物流通」を行った。これは南洋地域の書店の展開を調査したものである。(5)中国大陸の書店についても、上海と北京を中心に資料分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行による。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究計画を延長したうえでの最終年度に当たる。中国大陸における書店についての論考をまとめ、南洋についても論文化したうえで全体をまとめたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行によって旅費が使用できなくなった。 今年度においては、国内調査を再開する。また関連資料の収集費用にも充てる。
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Research Products
(5 results)