2023 Fiscal Year Research-status Report
近世後期から末期の長崎における異文化融合と他地域への伝播をめぐる学際的研究
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19K00346
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉良 史明 長崎大学, 教育学部, 准教授 (50707833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中島広足 / 青木永章 / 木下逸雲 / 舶来趣味 / 異文化融合 / 川原慶賀 / 西洋遠近法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、今までの文献資料調査の成果を踏まえて、その成果を広く公表していくことに取り組んだ。 まず令和5年度西日本国語国文学会長崎大会において、学会の開催に合わせて「近世後期長崎の雅会の世界―鎮西大社諏訪神社および原田家蔵の資料展―」の展示を行った。研究計画にも記載している諏訪神社蔵の進出資料である社家関連の文書群、また中島広足自筆稿本群、さらには広足知友の南画家木下逸雲関連資料である原田家資料、以上の主たる史資料の一部を展示し、さらに資料解題を執筆した。 また、近世後期長崎文苑に関する論攷「近世後期長崎の実景―中島広足と川原慶賀―」(『長崎学』第8号、2024年3月)を執筆し、広足が『樺島浪風記』の野母崎冲の描写において西洋絵画の遠近法に通底する風景描写を行っていたこと、そしてその背景には長崎港を描いた川原慶賀「長崎港図」等の洋画からの何がしかの影響があること、さらには長崎港を眼下に見渡せる長崎の小高い丘に当時長崎の豪商・地役人等が好んで別業を築き、その家の記を広足に好んで描かせていたことを明らかにした。 さらに、「中島広足『樺島浪風記』試注(六)」(『鯉城往来』第26号、2024年1月)においては、『樺島浪風記』の漂流から生還に至る記事に詳細な注釈を施し、嵐の描写にあたり広足が『源氏物語』『方丈記』等の表現を踏まえていたこと、また嵐から無事生還出来たことを表現した「神の御ちはひ」の語には本居国学の影響が見て取れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に記載した文献調査資料の成果報告として、西日本国語国文学会における展示を出来たことは一定の成果をあげたと評価出来るが、当初予定していた調査資料の画像データベース等の公開が遅れていることから、上記の判断を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長したことに伴い、次年度にかけてデータベースの公開、さらに文献調査の成果に基づく論攷の執筆および公刊を続けていく。
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Causes of Carryover |
研究開始当初のコロナウイルス流行の影響を受けて、当初の研究計画そのものを延長せざるを得なかったため、次年度使用額が合わせて生じたことによる。 次年度は、研究成果の公開また文献調査出来ていない機関への出張等に繰り越し分の研究経費を使用する。
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Research Products
(3 results)