2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00353
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中丸 宣明 法政大学, 文学部, 教授 (80198184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新聞販売 / 附録 / 赤本 / 講談速記 / 日本館 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査途上であり、十全なかたちで具体的成果にかたちを与えるに至っていないが、2020年度末までには、今研究の成果の一部を含む単行書の執筆を継続中である。法政大学のブランディング事業の一環である江戸東京研究センターにおけるシンポジウム「追憶のなかの江戸~江戸は人びとの記憶のなかでどのような都市として再構成されたのか」(2019年2月20・21日)の企画立案実施に携わり、パネラーとしても議論に参加したが、その発表内容は、本研究における19世紀のマスメディアのあり方及び知の情況に関わるものであり、本研究に資するものであった。その成果は近世文学研究者の小林ふみ子との共編にかかる『好古趣味の歴史』(2020.6文学通信)にまとめた。同書の内容は、これまでの狭い文学史の枠を広げ知のありようをいわゆる「考証随筆」を中心に、現在で言うところの詩歌・演劇・戯作・小説などに関する文学研究に加え人文地理・歴史・風俗にかんする知のありようを考究したものであるが、そこには代表者による「受けつがれた江戸—高畠藍泉の考証随筆」が執筆されている。そこで取り上げた高畠藍泉もまた今研究での対象となる出版人であり、明治初期における小新聞のありかたを研究する上での一つの成果となった。また2019年9月28日の「19世紀文学研究会」会場において、明治期の出版流通に関して議論をした。同研究会については山田俊治「十九世紀文学研究会について 付活字・出版・明治戯作」(「日本近代文学」102集、2020年5月)に詳しい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本館発行の新聞に付随するかたちで発行・配布(発売を含む)された「人情世界」及び有喜世館発行・配布の「有喜世の花」の調査を行った。今年度は特にそれらの増刊号及び掲載された「講談」を中心にし、同時代の貸本に多く流通した講談本との演者・速記者・発兌本・売り捌き・書型の比較研究に従った。具体的には「会津市立図書館」「酒田光丘文庫」「国文学研究資料館」「国会図書館」等で資料調査、市中に残存する講談本の収集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度末から現在に至るまで、疫病禍により、一切の文献調査がストップし困惑している。今後状況の好転を望みたいが、実際の調査が不可能な場合何が出来るかを模索中。内容的には「現在までの進捗情況」の継続を中心とする。
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Causes of Carryover |
疫病禍等、調査先との調整で、費用の執行が二十年度回しとなっているため。
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