2019 Fiscal Year Research-status Report
古代・中世の《翻訳》意識―訓読と翻案のあいだを探る―
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19K00356
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森田 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (90611591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 延之 京都女子大学, 文学部, 講師 (00782591)
竹島 一希 京都府立大学, 文学部, 准教授 (10733991)
蔦 清行 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (20452477)
小山 順子 京都女子大学, 文学部, 教授 (20454796)
阿尾 あすか 相愛大学, 人文学部, 准教授 (30523360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和漢比較文学 / 翻訳文学 / 翻案文学 / 日中文化交流 / 東アジア文学 / 異文化間接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古代・中世の翻訳文学を通して、同時代の日本人自身が自国の文学のコードとして意識していたものを浮かび上がらせ、さらに「訓読」「翻案」「注釈」と「翻訳」との差異がどのように意識されて翻訳文学が作られたのかを解明することを目的とする。さらに「訓読」「翻案」「注釈」および「翻訳」という営為の質的差異を検証し、和漢の言語・文化コードの差異、特に翻訳者自身に意識されていたと考えられる自国の文学コードを明らかにすることを目指すものである。
その研究の初年度にあたり、2019年4月に、研究代表者および分担者による研究検討会を実施し、「翻案」と「翻訳」をめぐる問題について、問題意識の共有をはかった。 具体的には、①基盤的研究としての資料整備を含む翻訳文学研究、②「和歌」における「翻訳」、③「学問」における「翻訳」の三つの観点から、それぞれ、①漢籍や仏典由来の説話・物語における翻訳意識を検討を含めた、翻訳文学一般についての考察、②句題、故事題和歌における、表現摂取にとどまらない「翻訳」意識の検討、③抄物等「注釈」と「翻案」「翻訳」の差異の検討を掲げて、研究を実施することを決め、研究分担者がそれぞれに各地の図書館等での資料調査を含めた研究を実施した。この各個別の研究成果は20年度以降に各媒体において公刊される予定である。なお、①基盤的研究のうち、資料整備については、その対象資料の再検討を行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年4月に研究検討会を実施し、問題意識の共有をはかり、分担者各自の個別の研究課題については、順調な進捗を見せている。一方、翻訳への意識、文化コードへの意識を検討する新資料の紹介、検討の方法については、検討会での議論を通じ、再検討を行うこととなった。そのため、当初の計画からやや遅れているが、おおむね具体的な研究着手への準備は出来たといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会、研究書刊行に向けた作業などは継続的に行い、着実に進めていきたい。研究者間の研究会は、オンライン形態での実施によって進めていく。また、コロナウィルスの影響で、古典籍の閲覧・調査が困難となっている情況がある。それを補うため、共同調査による、資料紹介よりも、研究分担者各自の個別の研究課題の進展に重点を移すことを検討していく。
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Causes of Carryover |
社会情勢により、年度末までに予定していた第二回研究検討会が実施できなかったこと、3月以降の資料調査等ができなかったことによる。
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Research Products
(2 results)