2020 Fiscal Year Research-status Report
古代・中世の《翻訳》意識―訓読と翻案のあいだを探る―
Project/Area Number |
19K00356
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森田 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (90611591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 延之 京都女子大学, 文学部, 講師 (00782591)
竹島 一希 京都府立大学, 文学部, 准教授 (10733991)
蔦 清行 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (20452477)
小山 順子 京都女子大学, 文学部, 教授 (20454796)
阿尾 あすか 相愛大学, 人文学部, 准教授 (30523360)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 和漢比較文学 / 翻訳文学 / 翻案文学 / 日中文化交流 / 東アジア文学 / 異文化間接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古代・中世の翻訳文学を通して、同時代の日本人自身が自国の文学のコードとして意識していたものを浮かび上がらせ、さらに「訓読」「翻案」「注釈」と「翻訳」との差異がどのように意識されて翻訳文学が作られたのかを解明することを目的とする。さらに「訓読」「翻案」「注釈」および「翻訳」という営為の質的差異を検証し、和漢の言語・文化コードの差異、特に翻訳者自身に意識されていたと考えられる自国の文学コードを明らかにすることを目指すものである。 2019年度に全体の研究課題として設定した①【基盤的研究としての資料整備を含む翻訳文学研究】については、検討の結果、漢詩句題の翻訳文学としての句題和歌に注目し、主な漢詩句題和歌を総覧できる資料の作成を決定した。その作業は順調に進んでおり、2021年度中の公開を計画している。 また個別の研究課題の②【「和歌」における「翻訳」】という観点では、小山が西行和歌における漢詩文摂取と仁和寺歌壇との関連について考察を進め、2021年度の公刊が予定されている。また、阿尾による『尹大納言絵詞』を対象として画中詞を検討した成果が得られた。③【「学問」における「翻訳」】という観点からは、山中による柏舟宗趙講『周易抄』についての業績が公開された。そのほか蔦・森田・竹島も各々、抄物、『雲玉和歌抄』、『唐鏡』などを対象に、個別の研究を進めており、その成果は2021年度中に各媒体において公刊される予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍に見舞われ対面での研究検討会は見送られたが、分担者各自の個別の研究課題については、順調な進捗を見せている。また、資料整備の課題についても、オンラインでの検討会の結果、句題和歌総覧の作成を決め、2021年度中の公開に向けて順調に進んでいる。したがって、おおむね研究課題は順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍ではあるが、オンライン検討会と通じて、漢詩句題和歌総覧の作成を進めていく。対象資料の選定や基礎的資料の収集は終えており、2021年度中の公開に向け、校正その他の作業を進めていく予定である。また個別の研究課題についても、オンラインでの連携をとりつつ進め、学会発表や各種媒体での発表を通じて、公開していく。
|
Causes of Carryover |
社会情勢により、年度末までに予定していた研究検討会や個別の資料調査などが実施できなかったことによる。
|
Research Products
(3 results)