2020 Fiscal Year Research-status Report
佐太神社文書和歌関係資料を対象とした江戸期出雲歌壇の人的交流に関する研究
Project/Area Number |
19K00360
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
山崎 真克 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (10342544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 佐太神社 / 出雲歌壇 / 人的交流 / 出雲文化圏 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
1988年度特別展図録『風土記を解く-歴史学者朝山晧の眼』(鹿島町立歴史民俗資料館 1988.10)「朝山晧年譜」などに基づきながら、佐太神社先代宮司朝山晧氏(1895~1957)の出雲国に関する研究業績を調査・収集することで、佐太神社文書の調査・収集作業の補完とした。また、朝山晧氏が書写に関わっている椎の本花叔編『雲陽人物誌』本文についても検討を行った。 佐太神社文書のデータベース化作業に基づき、佐太神社宮司その他神職の人々による和歌詠草を中心に、出雲歌壇での活動状況がうかがわれる資料の内容分析を行った。歴代の佐太神社宮司の和歌詠草のうち、朝山晧氏が『朝山芳房報賽百首和歌集』(昭和28年〈1953〉11月)と題して活字翻刻されている朝山(勝部)芳房『百首和歌』や、蘆田耕一氏が『重要文化財 佐太神社-佐太神社の総合的研究-』において翻刻紹介された『神始言吹草』(正徳元年〈1711〉6月刊)など、佐太神社および周辺地域の神職、松江藩家老、伯耆国人や僧、京・大阪在住の著名歌人の歌が含まれる資料により、出雲歌壇での人的交流の実態について考察した。 また、さまざまな年代の江戸期出雲歌壇の活動状況がうかがえる資料として、松江市文書調査報告書第1集『乙部家等古文書史料調査目録-平成19年度~平成21年度-』「千手院文書」「松江神社所蔵文書」、平成25年特別展『松江藩主松平家の至宝-天下の名物-』(松江歴史館 2013.11)に紹介されている昭和初期に松平直亮氏から佐太神社を含む松江市内の寺社に寄贈された松江藩主家に関わる古典籍等の佐太神社文書以外について調査・資料収集、および内容分析を行うため、情報を整理した。これらの作業は、出雲文化圏における佐太神社文書の位置付けを図ることを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既に収集していた1988年度特別展図録『風土記を解く-歴史学者朝山晧の眼』(鹿島町立歴史民俗資料館 1988.10)「朝山晧年譜」を基本資料とすることで、佐太神社先代宮司朝山晧氏(1895~1957)の出雲国に関する研究業績について網羅的に整理することができた。また、椎の本花叔自筆資料である島根県立図書館蔵『雲陽人物誌』と、いずれも朝山晧氏書写本を転写した島根大学附属図書館桑原文庫蔵本・大阪市立大学森文庫蔵本の2本との本文異同を確認することで、『雲陽人物誌』本文の位置付けが明確となった。 朝山晧氏『朝山芳房報賽百首和歌集』(昭和28年〈1953〉11月)と題して活字翻刻されている朝山(勝部)芳房『百首和歌』や、蘆田耕一氏が『重要文化財 佐太神社-佐太神社の総合的研究-』において翻刻紹介された『神始言吹草』(正徳元年〈1711〉6月刊)などを用いることで、佐太神社および周辺地域の神職、松江藩家老、伯耆国人や僧、京・大阪在住の著名歌人など、出雲歌壇での人的交流の実態について考察するための基礎的な情報の整理を行うことができた。 ただし、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、佐太神社文書を中心とした出雲歌壇に関連する資料の新たな調査・収集、情報収集を目的とした学会・シンポジウム等への参加ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
椎の本花叔編『雲陽人物誌』について、既に私家版として刊行している島根県立図書館蔵本と、朝山晧氏書写本・島根大学附属図書館桑原文庫蔵本・大阪市立大学森文庫蔵本との本文異同を整理し、草稿本に対し加筆・修正された最終本文を確定する。 また、佐太神社宮司その他神職の人々による和歌詠草を中心に、出雲歌壇での活動状況がうかがわれる資料の内容分析を行う。朝山(勝部)芳房『百首和歌』をはじめ佐太神社宮司と歴代松江藩主および歌壇の指導者的存在との交流実態を示す資料や、佐太神社および周辺地域の神職、松江藩家老、伯耆国人や僧、京・大阪在住の著名歌人の歌が含まれる『神始言吹草』(正徳元年〈1711〉6月刊)等により、出雲歌壇での人的交流の実態を考察する。 松江市文書調査報告書第1集『乙部家等古文書史料調査目録-平成19年度~平成21年度-』「千手院文書」「松江神社所蔵文書」、平成25年特別展『松江藩主松平家の至宝-天下の名物-』(松江歴史館 2013.11)にみられる松江藩主家に関わる古典籍等、佐太神社文書以外のさまざまな年代の江戸期出雲歌壇の活動状況がうかがえる資料の調査・資料収集および内容分析を行い、出雲文化圏における佐太神社文書の位置付けを図る。 本研究で扱う資料の全体像の把握と、絞り込んだ資料の個別の分析、また佐太神社文書以外の資料も検討材料に加え、既に構築した「江戸後期出雲歌壇を構成する歌人データベース」と照らし合わせて、出雲歌壇での活動状況と人的交流の実態の解明を行う。
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Causes of Carryover |
佐太神社文書を中心とした出雲歌壇に関連する資料の調査・収集を主な目的として、江戸期の全国的な歌壇状況に関する影印・翻刻資料および和歌関係研究図書、国内旅費などを計上していた。今年度は、既に収集を行っていた資料を用いて出雲歌壇での人的交流の実態について考察した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、佐太神社文書を中心とした出雲歌壇に関連する資料の新たな調査・収集、情報収集を目的とした学会・シンポジウム等への参加ができなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、新型コロナウイルス感染症の収束状況を確認しつつ、通常授業期間の週末や通常授業終了後の長期休業期間を利用するなどして、佐太神社文書を中心とした出雲歌壇に関連する資料の調査・収集、関係学会・研究会などへの参加による情報収集を行うとともに、未だ不足している江戸期の全国的な歌壇状況などについての先行研究調査のため、和歌・俳諧関係研究図書を購入する。
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