2019 Fiscal Year Research-status Report
『少女の友』におけるジェンダー規範の越境 ―宝塚少女歌劇と少女小説に見る異性装
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19K00362
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
渡部 周子 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (70422582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 『少女の友』 / 少女雑誌 / ジェンダー / 少女小説 / 異性装 / 宝塚少女歌劇団 / 宝塚歌劇団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少女雑誌『少女の友』に表わされた異性装から、ジェンダー規範の越境について考察することを目的とする。『少女の友』における、宝塚少女歌劇団(1940年より宝塚歌劇団と改称)に関する各記事の意味内容、また少女小説に描かれた異性装に注目する。これらの対象を考察することを通して、「少女」に求められた「愛の客体」という受動的なジェンダー規範からの越境の可能性を問うことを目指す。 なお、ここで述べる「愛の客体」とは、異性愛男性の相補者であること意味する。 研究計画の一年目となる2019年度において、次にあげる基礎的な作業が重要であった。一つ目が、近代資料(文献資料および視覚資料)の調査と収集を進めることである。二つ目が、歴史的、社会的、文化的な背景を把握することである。これらのなかでも、一つ目に挙げた、近代資料の調査と収集に、力を入れる必要性があった。本研究課題が対象とする、少女文化に関するこの時期の資料は、図書館等の資料館に、その全てが保管されているわけではない。所蔵が有る資料についても、破損している場合もある。資料の収蔵先は限定されており、各地の施設(主に東京都内、大阪府内)に、それぞれ部分的に残されている状況である。このように、研究の対象とする資料が散逸しているため、調査と収集に、時間と労力そして費用を要す。これらの資料調査、情報収集等は、研究計画一年目において、位置付けの大きい作業であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行という、不測の事態によって、2019年度に計画していた、資料調査、情報収集、資料収集のための現地調査を、一部中止せざるを得なかった。このため、やや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画一年目は、新型コロナウイルス感染症の流行により、当初予定からやや遅れが出ている。このため、二年目において(1)近代資料(文献資料および視覚資料)の調査を進めること(2)歴史的、文化的な背景を把握すること、これらが引き続き課題となっている。なお、研究期間を通じて、継続的に資料調査、情報収集に取り組む予定であったことは、「補助事業期間中の研究実施計画」(交付申請書)にも記した通りである。ただし、現地調査が実施出来ないことは、今後も想定される。その対応策としては、図書館等のレファレンスサービスの活用、データーベースの活用、郵送複写の活用等であり、これらの方策で、できるだけ研究を推進したいと考える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウイルス感染症の流行という不測の事態によって、2019年度に計画していた、資料調査、情報収集、資料収集のための現地調査を、一部中止せざるを得なかったことによる。 休館中であった施設(資料館等)は、(2020年6月11日時点では、制限を設けている場合もあるが)活動を再開しつつある。今後の使用計画としては、資料調査、情報収集、資料収集が不可欠であり、これに要する費用として使用するものとする。ただし、社会情勢によっては、旅費に使用し難いことが想定され、この場合郵送による複写物の取り寄せに要する費用として使用する。またこの他、収集した資料を整理するために必要な費用、電子機器の購入費用等に支出することを想定している。
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