2021 Fiscal Year Research-status Report
『少女の友』におけるジェンダー規範の越境 ―宝塚少女歌劇と少女小説に見る異性装
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19K00362
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
渡部 周子 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (70422582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェンダー / 少女小説 / 少女雑誌 / 宝塚少女歌劇団 / 宝塚歌劇団 / 『少女の友』 / 少女 / 異性装 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少女雑誌『少女の友』におけるジェンダー規範の越境について、考察するものである。宝塚少女歌劇団(1940年より宝塚歌劇団と改称)に関する各記事の意味内容、また少女小説に描かれた異性装に注目した。 分析対象とする資料は全国に散逸しており、各地の施設(東京都内、大阪府内等)に、部分的に保存されている状況である。したがって、島根県外へ出張し、調査を進めることが必要であるが、新型コロナウィルス感染症の流行が収まらず、2021年度も島根県外への出張を伴う調査を中止せざるを得なかった。代替として、郵送での複写資料の収集、並びにオンラインによる探索を進めた。しかし、この調査方法によって、収集できる資料には限界がある。当初計画からの遅れが生じることは、回避不能であった。こうした制約のある中でも、遂行可能な研究方法を模索した。まずは、歴史的、社会的、文化的な背景の把握に努めた。また、近代の少女小説とは、どのようなメディアで、どのようなジェンダー規範が示されているのかを考察した。その際には、『少女の友』に限定せずに、当時の少女小説の動向や特徴を総体的に探ることにした。この作業により、『少女の友』の少女小説を捉える、俯瞰的並びに相対的視点を補強することに努めた。 以上のように、研究開始当初には想定していなかった事態に遭遇し、当初計画を変更せざるを得ず、研究を進めるための工夫を凝らしつつも苦心している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題が研究対象とする資料の収蔵先は限定されており、各地の施設(東京都内、大阪府内等)に、それぞれ部分的に保存されている状況である。ところが、新型コロナウイルス感染症の流行によって、島根県外への出張が、困難となった。そこで、郵送で資料を取り寄せる等の方法を取ったが、取り寄せられない資料もあり、収集に支障をきたしている。加えて2021年3月に、本人の責めに帰さない事由(漏水)によって甚大な支障が生じた。2021年度中にも、この想定外のアクシデントの影響が及び、遅延からの復帰・調整が必要となった。これらのことにより、十分に研究を進められない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
想定外のアクシデントによる遅延から、復帰・調整に努めるものとする。研究対象とする資料(文献資料および 視覚資料)の調査と収集をし、また歴史的、文化的な背景を把握する。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に対して、研究者が取りうる方策は限られている。現地調査にかわる対応策として、引き続き、図書館等のレファレンスサービスの活用、データーベースの活用、郵送による複写物の取り寄せ等を行う。これらの方策で、できるだけ研究を推進したいと考えるが、今後研究期間を延長することを検討している。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用額が生じた主な理由は次のとおりである。本研究課題が対象とする資料の収蔵先は限定されており、各地の施設(東京都内、大阪府内等) に、それぞれ部分的に保存されている状況である。当初計画では各地に調査のため、出張する予定であった。ところが、新型コロナウイルス感染症の流行によって、島根県外に出張することは躊躇われる状況となった。また、対面で実施予定であった学会が、オンライン形式に変更となった。これらの事情により出張費が未使用となった。 (使用計画)資料調査、情報収集、資料収集が不可欠であり、これに要する費用として使用するものとする。ただし、引き続き、旅費に使用し難いことが想定され、複写物の取り寄せに要する費用や、資料の管理、電子機器の購入等の費用に使用する予定である。加えて、研究期間を延長することも検討している。
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