2019 Fiscal Year Research-status Report
Reading Iconotexts: Printing and iconography in China in the late 20th century
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19K00365
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 雅哉 北海道大学, 文学研究院, 教授 (40216908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 容子 金城学院大学, 文学部, 教授 (10434359)
加部 勇一郎 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (30553044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国文学 / 表象 / 連環画 / ポスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国におけるイコノテクスト(画文一致)という概念に着目し、20世紀後半の印刷メディア(画報・ポスター・グラフ雑誌・連環画など)に見られる図像と文字テクストとの関連性を解明し、同時期の視覚イメージを中華図像文化史の流れの中に位置づけようと試みるものである。上述の印刷メディアは、とくに20世紀後半の中国において、民衆を教育するプロパガンダとしての役割を果たした。 令和元年度の研究成果として、以下の三点が挙げられる。第一に研究会の開催、第二に連環画の整理に関する作業、第三に学術研究誌『連環画研究』の編集と刊行である。 研究会は令和元年9月21日に開催され、ゲストスピーカーを含む研究者たちの間で、当該分野に関する活発な意見交換が実現した。連環画の整理に関しては、研究代表者の武田が、1950年代から80年代頃までの「養豚」をテーマとした作品を中心に作業を進めた。これらの研究成果は、学術研究誌『連環画研究』第9号に論考としてまとめ、令和2年3月10日に刊行した。 論考の中には、武田による清末から1950年代頃にかけての「養豚連環画」史を具体的な作品にそくしてまとめたものや、研究分担者の加部による1964年の東京オリンピックの際に中華民国のスポーツ選手が中華人民共和国に「帰還」した事件の連環画化の過程を精査したもの、同じく研究分担者の田村による1958年の「大躍進」前後にかけて活躍したアマチュア作家・郭同江の連環画作品を分析したものなどがある。 そのほか、ゲスト執筆者として、瀧下彩子による漫画家・国画家の葉浅予と抗日漫画活動に関する論考や、中根研一によるカンフー映画を題材とする連環画に見られる西洋人表象に関する論考などが寄せられ、多岐にわたる題材を扱った成果論集となった。これらの成果は、いずれも20世紀後半の中国における視覚文化の興味深い様相を明らかにするものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画通り、資料調査、資料撮影、資料のデータベース化、研究成果発表を行なうことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様、研究会の開催、連環画の整理に関する作業、学術研究誌『連環画研究』の編集と刊行を継続する予定である。研究会には、歴史学や芸術学などの専門知識をもつ外部ゲストスピーカーとの意見交換を行い、研究の客観性を保つ。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度未使用額が生じた理由として、資料購入が少なかったことが挙げられる。 (次年度の使用計画) 資料購入を行なうほか、ゲストスピーカーを招聘し、研究会の活性化を図る。また、研究誌の刊行は引き続き行ない、必要な資料調査、データベース構築も継続する。
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Research Products
(7 results)