2021 Fiscal Year Annual Research Report
二十世紀中国画家の継承と創造に関する言説の文学的考察
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19K00366
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西上 勝 山形大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (10189277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国二十世紀絵画 / 中国画 / 美術評論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二十世紀中国美術の大きな流れを踏まえつつ、主要な画家の絵画創作と創作に関連する言説の特徴を明らかにすることを目指した。主要な画家として、中国の伝統的水墨画技法に主としてよりながら、十九世紀末から二十世紀前半にいたる長期間、老年に至るまで創作を継続した中国画の大家、斉白石(1864-1957)と黄賓虹(1865-1955)の二人、この二人とは異なり、若年から西洋画技法の吸収に務めつつ、晩年には中国画と西洋画との交流を試みつつ、新しい絵画のあり方を模索した徐悲鴻(1895-1953)と劉海粟(1896-1994)、これら二十世紀中国を代表した四人の画家の実作と関連する言説に特に注目して研究を進めた。四人の全国的な絵画創作普及及び絵画教育に関する考え方には違いが有ったことはいうまでもないが、相互に影響を与える側面もあった。それは特に、西洋画の習得から開始した徐と劉の二人の伝統中国画に可能性を探ろうとした点に見られることが分かった。ただ、徐が素描から開始する写実主義的西洋古典絵画技法を重んじたのに対し、劉は西洋印象派から表現主義的技法に傾斜したことから、自ずから中国画の可能性を開拓する方向は異なり、徐が北京で晩年の斉白石と強調したのに対し、劉の方は南方の杭州で筆墨の新たなあり方を突き詰めつつ水墨画を画き続けた黄賓虹に親和的であった。このように、二十世紀中国における絵画の流れは、伝統を継承しつつ多彩な様相を呈していた。令和3年5月に、放送大学対面講座において、四人の経歴と創作遍歴の実際を追いながら、上述の研究成果の一端を公表することができた。
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Remarks |
放送大学2021年度面接授業2567962(於山形学習センター、2021年5月)において、「現代中国の画家とその生活」と題して、講義を行った。
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