2021 Fiscal Year Research-status Report
テクストの公と私―蘇軾の詩詞・書簡と文集編纂に関する研究―
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19K00369
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅見 洋二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蘇軾 / 書簡 / 詩 / 詞 / 社会的圏域 / ネットワーク / 公 / 私 |
Outline of Annual Research Achievements |
本 研究は、北宋・蘇軾の詩詞・書簡テクストと文集編纂について、当時の文人社会の圏域・ネットワークと関連づけながら考察することを目的とし、(1)蘇軾の書簡と文集に関する文献学的研究、(2)蘇軾の詩詞と書簡の相互連関に関する研究、(3)蘇軾の書簡と奏議・詔勅・策論との比較研究の三つを基軸として実施する。 全研究期間の第三年度にあたる本年度は、上記(1)の研究については、南宋における蘇軾文集、特に『東坡外集』について引きつづき考察を加えた。(2)の研究については、詩詞テクストの交換・流通の実態を当時の文人社会の圏域・ネットワークとの連関に重点を置いて検討することに重点を置いて実施した。特に、詩詞が書簡を代行するテクストとして交換されるケースに着目して考察した。具体的には、弟の蘇轍との詩の交換を取りあげ、その状況を整理するとともに、南宋の文人陸游のケースと比較しながら、その特質を明らかにしようと試みた。 (3)の研究については、引きつづき陸游との比較を中心に初歩的な考察を行った。なお、(2)(3)の研究については、これまで陸游との比較に注力してきたが、方法としては必ずしも有効ではないことに気づくに至った。その欠を補うべく、新たに北宋・黄庭堅との比較という視点を模索している。 以上の研究成果の一部は、日本中国学会第73回大会において「陸游における田園と国家―「耕織図詩」「諭俗文」を手がかりに―」と題する口頭発表として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究のうち(1)(2)については、一定の進展が見られたが、(3)についてはほとんど進展がみられなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは陸游との比較に注力したが、必ずしも有効ではないことに気づいた。そこで、黄庭堅との比較という視点を新たに導入したい。
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Research Products
(3 results)