2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00378
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 普美子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60119427)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 中国新詩 / 公共性 / 倫理感覚 / 美感 / 女性詩歌 / 台湾現代詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国20世紀初頭、思想解放運動の中で誕生した口語自由詩「新詩」は、日常的口語を用いて個人や共同体の関心や時代感覚を表現することで詩の<公共的>機能を拡大していった。本研究は個人と共同体の関心や感情はどのように絡み合って新詩に表現されているか、また新しい詩的言語を促す文学資源としての伝統的古典詩や西洋現代詩学は、当時の文学者や美学者にいかなる啓発を与えたかを考察するものである。あわせて詩の〈公共性〉を考える手がかりとして、21世紀の漢語詩歌が世界詩としての普遍性を持つ一例として、台湾女性詩人陳育虹のテクストの読解を進めた。 上記の観点から、新詩が20世紀中国に生きた人々の抒情表現、審美意識、倫理感覚の変革にどのような役割を果たしたかを明らかにし、これらの成果をより分かりやすい形で一般社会に提供することが本研究の最終目的である。最終年度の目標とした以下の三点を実行することができた。 1.海外調査(台湾):台北で詩人陳育虹へのインタビューを行った。花蓮では東華大学文学院楊牧センターを訪れ、華文系教員と交流し、詩人楊牧の関係資料を収集調査した。 2.研究会誌『九葉読詩会』第9号を刊行:同人による読詩会を基盤として、民国期旧体詩から同時代詩にいたるまで、種々な角度からの論考8本を収めた。 3.図書『美感と倫理――中国新詩研究』(汲古書院、2024年2月)を出版。近年の研究成果を単行本にまとめ、一般の人にも中国新詩について知ってもらう機会を提供した。
|