2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00384
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
浅野 法子 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 准教授 (60759306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国児童文学 / 児童文化 / 児童サービス / 中国文化 / 絵本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、21世紀に普及しはじめた新しいメディアである中国の絵本を取り上げ、その表現検証と環境調査をとおして、中国における絵本文化の様相を解明するものである。本研究では、絵本作家研究、絵本表現の検証、絵本の環境調査といった3つの観点から、中国絵本史を構築することを目的としている。1年目である2019年度は絵本の環境調査と資料収集を中心に実施した。主な研究成果としては、以下の研究論文と研究発表が挙げられる。 まず、環境調査に関しては、2019年8月24日から27日まで上海に滞在し、上海少年児童図書館や上海市の図書館を訪問した。この調査結果には本務校紀要にまとめている(「中国における子どもの読書環境と絵本文化の様相」大阪成蹊短期大学紀要第17号、2020年2月)。上海少年児童図書館の児童サービスが上海市図書館のネットワークを背景に展開されていることに言及した。また、近年の中国における絵本ブームの一端として、絵本リスト等から絵本の受容傾向を分析した。 次に、資料収集に関しては国内外の関連機関にて行い、その調査結果については、所属する日本児童文学学会の第58回研究大会において口頭発表を行った(「中国の絵雑誌『小朋友』における児童出版美術の研究」)。絵雑誌『小朋友』にみる表紙絵の変遷や構図の組み方の特徴をまとめ、分析した。同誌にみる画家ごとの表現検証や、海外の児童美術との影響関係に関する考察については、2020年度に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の2019年度は、研究の準備段階として①資料の収集や整理、②絵本の環境調査を行うことを実施していた。①に関しては、8月に中国国家図書館(北京滞在8/18-24)および上海図書館(上海滞在8/24-27)にて資料収集を行った。中国国内での文献調査を手際よく進めるため、日本国内所蔵の文献に関しては事前に所蔵を調査し、大阪大学附属図書館や愛知大学図書館等を訪れ、国内外の関連機関を併用することができた。初年度の資料収集に関しては、目標をある程度達成することができた。 ②の絵本の環境調査に関しては、8月に北京では絵本館を中心に訪問し、上海では上海少年児童図書館や上海市立図書館、絵本館を訪れ、児童サービスを主とする運営状況を調査することができた。また、4月に精華大学附属小学校(北京)へ訪れる機会があり、学校図書館の見学や、読書活動に関わる現地の研究者や教員と交流できたことは非常に大きな収穫となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年8月に韓国大邱で開催予定であったアジア児童文学学会大会が、COVID-19を理由に現時点で開催延期が決定している。また、中国での環境調査を継続する予定であったが、今後は当初の計画どおりには進まないことが想定される。そのため、2020年度は予定を大幅に変更し、日本国内所蔵の資料を収集しながら、文献調査を中心に進めていきたい。また、その成果は所属学会の研究大会で発表し、本務校の紀要等にて論文発表を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定した旅費を抑えることができたことと、翻訳業務として計上した人件費が発生しなかったことによる。2020年度は国内での資料調査を継続して実施しながら、所属学会での研究発表や本務校紀要等に論文を発表する。 ただ、参加を予定していたアジア児童文学学会大会が現時点で2021年度への延期を決定している。そのため、当該研究課題の2年目、3年目の旅費に関する支出計画を見直す予定である。
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Research Products
(3 results)