2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00384
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
浅野 法子 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 准教授 (60759306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童文学 / 児童文化 / 児童サービス / 中国文化 / 絵本 / 読書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国の絵本の表現検証と環境調査をとおして、中国における絵本文化の様相を解明するものである。絵本作家研究、絵本表現の検証、絵本の環境調査といった3つの観点から、中国絵本史を構築することを目的としている。 令和2年度の研究成果としては、資料の収集とその検証が挙げられる。 まず、当初予定していた関連機関での資料収集は叶わなかったため、遠隔で資料を取り寄せるとともに、資料購入で補うようにした。資料収集を行う過程で、絵本の概念が台湾経由で中国大陸へ伝わる事例を新たに発見することができた。 次に、資料の検証については、これまでに収集したものと昨年度国家図書館で収集したものを対象に、日本の児童文化財との影響関係を検証してまとめた(「中華民国期の児童雑誌『児童世界』にみる日本との交渉」大阪成蹊短期大学紀要第18号、2021年3月)。1920年代創刊の中国の児童雑誌や絵雑誌には、海外からの影響関係や独自性がみてとれる。なかでも日本の児童出版美術との関連性に着目し、表紙絵や挿絵にみる表現について検証した。また、令和元年度より中国の児童雑誌『小朋友』にみる童画的表現に着目しており、第15回アジア児童文学大会での発表を予定している。既に査読通過済みで、童画という日本の児童出版美術にみられる絵画表現の系譜を検証するものである。童画という可愛らしさや愛らしさを強調する表現が、建国以降の中国児童出版美術にもみられる時期があることを指摘し、日中両国の児童出版物にみるそれぞれの子ども観を検証することを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度の準備段階をふまえ、令和2年度には本研究をより深化させる予定であったが、COVID-19感染拡大に伴い、予定していた環境調査、資料収集ともに見直しを図ることとなった。環境調査については計画通りに進まない可能性も予想していたが、資料収集に大幅な影響が出ることは想定外であった。 計画の立てなおしを経て、遠隔収集した資料を対象に検証を進めており、研究活動は順調に進んでいる。しかし、令和2年度に延期となった第15回アジア児童文学学会大会は令和3年度にリモート開催が予定されているものの、研究成果を予定どおりに挙げることができていないことや、絵本の環境調査の着地点が模索中であることから、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度には絵本の環境調査と資料収集を中心に実施し、令和2年度には絵本表現の萌芽期と童画表現の検証を実施した。中国の絵本を多角的な視点からとらえるため、今後は作家ごとの検証を行う。その成果は所属学会研究大会で発表し、紀要等にて論文発表を目指す。 令和3年度にリモート開催される国際会議にて日中児童出版美術にみる童画的表現について発表する。国内外の研究者との意見交換をとおして知見を深めたい。また、中国での絵本に関する論考等から絵本をめぐる言説をおさえ、教育や文化の観点から絵本の受容に関する考察を進める。
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Causes of Carryover |
理由:COVID-19感染拡大により、参加を予定していた国際会議が延期となり、旅費が発生しなかったため。 使用計画:令和3年度も国内外の出張に影響が出ることが想定される。関連機関へ訪問できない場合には、遠隔での資料収集へと切り替える。絵本の環境調査については、その着地点を含めて活動の見直しを図る。
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Research Products
(1 results)