2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00384
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
浅野 法子 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 准教授 (60759306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 児童文学 / 児童文化 / 児童サービス / 中国文化 / 絵本 / 読書 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、令和3年度もコロナ禍での活動となり、当初の研究計画を見直し、調査を進めてきた。令和3年度の研究成果には論文2件、口頭発表2件がある。 活動内容としては、資料の収集とその検証が挙げられる。韓国大邱市主催の第15回アジア児童文学学会大会(8月、リモート開催)では、日中児童出版美術にみる童画的表現について考察した(発表タイトル:「日中児童出版美術にみる童画の系譜 」)。日本の児童書にみる子どもを可愛らしく描く「童画」的表現は、中国の児童出版物にも散見される。両国の児童文化財にみる童画的表現に着目し、児童雑誌や絵本に描かれた「かわいい」子ども像について検証した。リモートでの開催であったが、国内外の研究者との意見交換ができ、研究の視野を広げることができた。この研究成果は、論文「日中児童文化財に描かれた「かわいい」子ども ―童画の系譜と絵本表現の考察―」(大阪成蹊短期大学研究紀要19号)にまとめている。 11月に開催された日本児童文学学会第60回研究大会では、1980年代に少年児童出版社より出版された「幼児図画故事」シリーズに着目し、その絵本表現について考察した(発表タイトル:「少年児童出版社『幼児図画故事』シリーズにみる中国の絵本表現」)。 建国直後の児童書にはソ連の影響が強くみられるが、同シリーズには日本の絵本表現の影響がみられることを指摘するとともに、同シリーズの絵本史上での位置づけについて確認した。また、現行の語文教科書掲載の絵本教材に関する検証も進めていきたい(「中国児童文学」(27) )。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画を軌道修正しながら進めてきたが、COVID-19の影響によって、絵本の環境調査が進んでいない。一方、絵本の表現調査については、国内所蔵の資料を中心に検証を重ねており、順調に進んでいる。 国内外の学会の研究大会や研究会にて研究者と交流する機会が増えている。リモート開催も盛んになりつつあり、国内外の研究者との意見交換を通して知見を深めたい。口頭発表と論文投稿を進めているものの、視察ができないことから、「やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度に実施した中国での絵本の環境調査及び資料収集は大変有意義なものであった。令和2年度以降にコロナ禍の影響を受けたことが残念であるが、資料収集をしながら絵本の萌芽期にみる表現検証を進めており、令和3年度には国内外の研究大会で口頭発表することができた。同時に紀要等にて論文発表も進めている。 令和4年度は、状況が好転すれば後半に視察ができればと考えているが、文献やデータからの環境調査への切り替えも検討する。絵本をめぐる言説を引き続きおさえながら、教育や文化の観点から中国の絵本の受容に関する考察を進めたい。
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Causes of Carryover |
理由:コロナ禍の影響で、遠距離の旅費が発生しなかったため。 使用計画:令和4年度も国内外の出張に影響が出ることが想定される。関連機関を訪問できない場合には、遠隔での資料収集へと切り替える。
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Research Products
(4 results)