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2020 Fiscal Year Research-status Report

文化研究勃興期におけるウェールズ的経験の意味―「例外的戦闘性」とR・ウィリアムズ

Research Project

Project/Area Number 19K00385
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

大貫 隆史  東北大学, 文学研究科, 准教授 (40404800)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords短い文化革命 / レイモンド・ウィリアムズ / 感情構造の記述 / 文化・文学のソシオロジー
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、20世紀前半のワーキングクラスを一種の母体としながら勃興してきた書き手たちを、主たる議論の対象としながら、ウェールズの「例外的な戦闘性」を踏まえつつ、そこでの「短い文化革命(short cultural revolution)」の実践と、それにときに激しく矛盾し合いながら関係し合う諸実践の様相を探るものである。三年目となる本年度は、これまでに収集してきたウェールズ関連文献、勃興期文化研究関連文献、ウェールズ英語文学関連文献を読解しながら、レイモンド・ウィリアムズが1960年代から70年代に提起していたと思われる、文学・文化研究をめぐる方法論の諸問題を検討した。ウィリアムズは1960年代の講義録である『ディケンズからロレンスまでのイングランド小説』において、ディケンズからロレンスまでの書き手たちが、直面する強烈な矛盾をいわば「野生の思考」的(とはいえ「野生」ではなく「ジェネラル」なものであり「思考」というよりは「構造」なのだが)に解決するプロセスを、ごくレトリカルに語っている。このプロセスは、その場で即座に問題が解消されたかのように見えるプロセスであり、じつのところ「短い文化革命」の一環と見なすことができる。ところが、『イングランド小説』で取り上げられている書き手が、1970年代後半になると、かなり別様に論じられており、そこでは、イングランド小説の伝統をなす書き手たちが、じつは同時代のごくポピュラーな文学を「再生産reproduction」している面があることが強調されている。こうしたソシオロジカルな文学・文化研究には、『イングランド小説』のようなごくショートスパンでの変化を希求する記述とは異なった部分があることの意義などを考察した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

文化・文学研究における方法論を歴史的に検討することを通して、そこでの、「ショートスパン」の変化と「ロングスパン」の変化の扱いについて、考察することができた。また、レイモンド・ウィリアムズを対象に、文化・文学研究における方法論の、お互いの関係性につい考察した論文を公表することができたため。2020年度における出張の制限などのため、口頭報告を行うことができなかったが、2021年度にオンラインの研究会・学会などでの口頭報告を予定している。

Strategy for Future Research Activity

今後も、関連文献の収集と分析を進める。本年度は、勃興記文化研究の書き手たちを主たる対象に、ウェールズの「例外的な戦闘性」という文化的な性質を、「文化革命」及び「ナショナリズム」という観点と関連付けながら考察する。

Causes of Carryover

ウェールズ関連文献について、収集対象とすべき図書の検討を行うための、予備的な分析作業に遅れが生じてしまったため。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 文化のソシオロジーと感情構造記述は同時に実践可能か?2021

    • Author(s)
      大貫隆史
    • Journal Title

      レイモンド・ウィリアムズ研究

      Volume: 10 Pages: 5-24

URL: 

Published: 2021-12-27  

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