2019 Fiscal Year Research-status Report
"New World" Representations and the Americanization of the British Colonies in the 17th Century
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19K00398
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
荒木 純子 学習院大学, 文学部, 教授 (20396831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新世界 / イングランド領植民地 / アメリカ化 / 月 / キリスト教 / 舞踊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イングランドから新大陸に渡ってきた植民地の人たち、イングランド人を自認しているはずの人たちが、植民地においていかにアメリカ性を獲得し、アメリカ化していったのかを、信仰という一面から検討することである。そのため、17世紀の天体および新大陸という2つの「新世界」にかかわる当時のイングランドおよび植民地の人々の言説および表象を分析し比較対照させることにより、植民地独自の要素、すなわち「アメリカ化」された文化的産物が構築されていく歴史的過程を分析する。 その上で、1年目の2019年度にかんしては、全般的な先行研究の検討に加え、英国教会内および英国知識人のガリレオの月発見に対する反応、新大陸発見に対する反応、アメリカに渡ったピューリタンに対する反応の分析に重点を置いて、資料の収集と分析を行う予定であった。それを遂行するうちに、17世紀天文学関連のイングランド科学史研究の奥深さに圧倒されたことと、2020年のピルグリムズの新大陸上陸400年記念行事に影響を受けたことにより、天文学にかんする調査はやや遅れたという面はあったものの、本来この研究の一つの出発点であった、新世界表象と舞踊という点に通ずる新たな資料を発見し、その成果を研究論文としてまとめることができた。対象の時期は19世紀であり、また新世界に対応する旧世界はイングランドではなくヨーロッパ大陸ではあったが、新世界のありかた、またアメリカ化の一つのあり方として有意義な比較研究になったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の見通しよりも、17世紀天文学関連のイングランド科学史にかんする資料収集と分析に時間がかかることが判明したこと、またアメリカでの学会で得た情報により、2020年のピルグリムズ到着400周年を覚え、アメリカとイングランドの両方で繰り広げられている特別な行事が判明したことにより、当初予定していなかった内容に足を踏み入れたため、次年度での調整が必要ではあるが、全体としてみればおおむね順調だと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き17世紀天文学関連のイングランド科学史にかんして注意深く予定を調整しながら進めてゆく。17世紀天文学関連の重要拠点の一つであるフィレンツェ、ピューリタンにとっての重要な中継地だったライデンでの調査も研究期間の早いうちに必要だと考えているが、COVID-19パンデミック次第であるので、うまく時期を見計らいたい。
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Causes of Carryover |
資料収集の方針に変更があったことと、出張時期と期間に制約が生じたため、次年度使用額が生じた。次年度は資料収集方針を調整し、かつCOVID-19パンデミックの状況を見極めながら現地調査を遂行していく予定である。
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