2023 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アメリカにおける健康改革運動と文学作品の相補的関連性についての研究
Project/Area Number |
19K00400
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
稲垣 伸一 実践女子大学, 文学部, 教授 (00269599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 健康改革 / 水治療 / 女性解放運動 / スピリチュアリズム / フリー・ラヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は3つの目的から成り立つ。そのうちの2つ「偉大な共和制国家実現と至福千年王国の到来という国家主義的・宗教的願望がいかに健康改革運動のレトリックに入り込んだかを一次資料から探る。」および「その国家主義的・宗教的願望と健康改革との関係を文学作品から検証する。」については、2021年度までの研究においてある程度達成することができた。今年度は2022年度から本格的に着手し始めた3つめの目的「健康改革運動と文学を結ぶ水治療の推進者Mary Gove Nicholsの言説を分析する。」をさらに進めた。 具体的には2022年度の研究成果の1つであった日本アメリカ文学会東京支部での研究発表内容に大幅に加筆を施し、研究論文「スピリチュアリズムと女性解放運動-19世紀アメリカにおける進歩主義とジェンダー」を発表した。この論文では、水治療の推進者であると同時にスピリチュアリストでもあったMary Gove Nicholsの思想を追いながら、健康改革と関連したフェミニズム思想とスピリチュアリズムの関係を論じた。また、Nicholsの小説との対比でHenry Jamesの小説The Bostoniansについても触れ、南北戦争を挟んだ19世紀半ばと後半での思想の変化を比較して考察した。 また、コロナ禍のため本研究課題初年度である2019年度に1度だけしか実現していなかったアメリカでの一次資料収集を実行した。Tulane University (New Orleans, LA)およびUniversity of California, Berkeley (Berkeley, CA)の図書館訪問より、これまで収集した主にアメリカ北東部における資料に加え、南部および西部における19世紀の医療に関する資料を収集することができた。これらの資料については今後読解を進め資料として活用していきたい。
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