2019 Fiscal Year Research-status Report
U.S. Cultural Diplomacy toward Japan and the Necessity of National Literature: Creating a National Writer of Faulkner
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19K00404
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
森 有礼 中京大学, 国際英語学部, 教授 (50262829)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウィリアム・フォークナー / 国民作家 / 文化外交 / 冷戦 / パターナリズム / モダニスト作家 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、国内において研究の主題に沿った資料収集と調査報告を行うことが目的であったが、それについては以下の通り研究調査報告を行った。併せて、研究遂行に必要な機器(PC等)を研究予算にて購入した。 研究発表については、2019. 6. 2.(於松山大学)の英語圏文学研究会(第三期)2019年度第二回研究会議にて、「フォークナーと「パターナリズム」―来日記録映画『日本の印象』における「父祖」の政治学―」を行い、フォークナーの来日記録映画における、日本でのフォークナーの「父祖」のイメージ作りの政治性について発表した。また2019. 10. 26.(於三重大学)の日本英文学会中部支部第71回大会にて、「日米における国民作家フォークナーの創生 ―Faulkner at Naganoからみる合衆国の文化外交戦略とその受容―」を行い、日米におけるフォークナーの国民作家像の形成の背景について発表した。また直接の研究発表ではないが、研究調査の一環として訪れた市立長野図書館にて、2019.7. 31.市立長野図書館講演会「長野を訪れたノーベル賞作家ウィリアム・フォークナーと長野」での講演“The Past Is Never Dead: the Story of Filliam Faulkner”にて、講演講師Michael Modak-Truran氏の逐次通訳を行った。 また本研究に関連する研究成果として、フォークナーの伝記調査を進めた結果、ジョエル・ウィリアムソン著『評伝ウィリアム・フォークナー』を、2020. 2. に水声社から出版した。同書はJoel Williamson, William Faulkner and Southern Historyの翻訳であり、同書の翻訳及び監修を担当した。共同監訳者は金澤哲、相田洋明。共訳者は梅垣昌子、田中敬子、松原陽子、山下昇、山本裕子。 これらの結果、日本における国民作家フォークナーとしての位置づけを一定程度確認でき、本国アメリカにおけるフォークナーの受容のための比較研究の基礎固めを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は上記の国内での調査研究と併せて、海外の資料調査を実践する予定であったが、当初予定していた海外での資料調査について、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延のために、当初予定していた海外の大学図書館等での資料調査を行うことができなくなった。そのため、海外での資料調査が未実地となっており、この点で若干の遅れが出ている。 また、海外からの専門家を招聘して学術的知見を得るために、一橋大学と連携して講師の招聘による講演会の実施を計画していたが、これについても同様の理由で、講師の渡航中止のため、講演会が不開催となった。 これらの理由により、当初の計画よりも大きく進行が遅れている。但し、こうした事情を補う形で、2020年度に予定していた研究を一部前倒しして実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、フォークナーの国民作家としての地位形成とその受容について、本国であるアメリカ合衆国での当時の状況を研究することが大きな目的である。そのため、海外の大学図書館などのアーカイブを調査する予定である。併せて、日本国内におけるフォークナーの国民作家としての影響をさらに調査する予定である。更に、こうした状況に関して、斯界の泰斗を講師として招聘し、講演会を開催する予定である。 但しこれらの目標については、新型コロナウィルス感染症蔓延のため、実施が2020年度中に可能かどうか不確定な状況であり、場合によっては2021年度に実施を延期するか、或いは現在可能な範囲で進めるかを検討中であり、国内外の研究協力予定者と日程等の調整を進めている。
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Causes of Carryover |
2019年度は、当初海外の大学図書館等のアーカイブを訪問して資料の収集を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延のために、この調査を行うことができなくなった。そのため、当初の旅費執行予定が未執行となった。 また、海外からの専門家を招聘して学術的知見を得るために、一橋大学と連携して講師の招聘による講演会の実施を計画していたが、これについても同様の理由で、講師の渡航中止のため、講演会が不開催となった。このため、旅費及び人件費・謝金の執行ができなくなった。
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