2019 Fiscal Year Research-status Report
第一次大戦期の思想潮流から見る20世紀初頭のイギリスの児童文学、舞台芸術
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19K00407
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
岩井 学 甲南大学, 文学部, 教授 (70369859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Algernon Blackwood / J. M. Barrie / D. H. Lawrence / WWI and plays / Class representation |
Outline of Annual Research Achievements |
1915年に戦時中の娯楽として上演され、1ヶ月で閉幕となったヴァイオレット・パーン (Violet Pearn) 脚本、エルガー (Edward Elgar) が音楽を付けた児童演劇『スターライト・エクスプレス』 (Starlight Express) に関して、まずは原作アルジャーノン・ブラックウッドの原作、『妖精の国の囚れ人』(Algernon Blackwood, A Prisoner in Fairyland)の分析を進めている。その際、同時代のJ・M・バリー (J. M. Barrie) のPeter and Wendy, Der Tag, Echoes of Warなどだけでなく、前世紀末1895年に上演された『トリルビー』のジョージ・デュ・モーリエによる原作(George du Maurier, Trilby)、1909年のガイ・デュ・モーリエがバリーの助けを借り「愛国者」のペンネームのもと世に問うた戯曲『英国人の家』(Guy du Maurier, An Englishman’s Home)といったテクストとの比較・分析を通しての位置付けを試みることが有効であるという点に思い至り、これらのテクストに見られるナショナル・イデオロギーやリベラリズムに絡む言説を足がかりに分析を進めている。 また1915年に執筆されたD・H・ロレンスの戯曲『危機一髪』(D. H. Lawrence, Touch and Go)の階級表象について、19世紀末以降のニュー・リベラリズム擁護派による中産階級および労働者階級の表象、またロレンスの他のテクストの階級表象との比較・分析を進めている。これまでに分かってきたことは、『危機一髪』における中産階級の描き方は典型的な表象が用いられている一方、労働者階級に関しては、ニュー・リベラリストやロレンスの他のテクストの表象との乖離が見られる。これは戯曲という媒体に起因するものなのかといった点や、上記のブラックウッドなどのテクストとの位置付けなど、今後さらに分析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の海外資料収集が学内の学生引率と重なってしまい、資料収集は翌年度以降に実施することとなった。また2020年度に予定されていた国際学会も延期となったため、学会発表に関しても2021年度以降となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記記載の通り、海外資料収集および学会発表が延期されたため、今後の計画を調整する必要がある。差し当たりは国内で入手可能なテクストについての分析を進めていきたい。海外での資料収集や国際学会での発表については、コロナウイルスの影響で今後の渡英の可能性も現在のところ見通せないが、状況を見ながら可能な範囲で対応していきたい。
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Causes of Carryover |
British LibraryおよびOxford University Pressへの資料収集を計画していたが、学内の学生引率と重なってしまったために資料収集を次年度以降へと予定変更した。コロナウイルスの影響で今後の渡英の可能性も現在のところ見通せないが、状況を見ながら判断していきたい。
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