2022 Fiscal Year Research-status Report
ジョイスの北アイルランド表象の政治学―ルイス・J・ウォルシュとの比較を通して
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19K00408
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
田多良 俊樹 安田女子大学, 文学部, 准教授 (40510467)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | James Joyce / Louis J. Walsh / アイルランド / 北アイルランド / ナショナリズム / ユニオニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究課題の研究対象となるウォルシュ作品のうち、The Guileless Saxon: an Ulster Comedy in Three Acts (1917)、Twilight Reveries (1924)、“Our Own Wee Town”: Ulster Stories & Sketches (1928)、および The Pope in Killybuck: A Comedy (1932) を精読することができた。これで、すでに精読が完了していた The Yarns of a Country Attorney: Being Stories and Sketches of Life in Rural Ulster (1917) と The Next Time: A Story of Forty-eight (1919) と合わせ、ウォルシュの主要6作品の分析が完了したことになる。そこに描かれるアルスターは、英国との連合主義の拠点としてではなく、南部アイルランドとの紐帯を希求し、ともに英国支配からの脱却を狙う民族主義的な地域として扱われていると考えらえる。その意味では、ジョイスの描くイギリス帝国主義と関係の深い都市としてベルファストと、きわめて対照的な「北部アイルランド表象」となっている点が興味深い。今後は、各作品の置かれた歴史的文脈を考慮に入れて、論文化できるよう努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度もコロナ禍の影響等で、北アイルランドにあるウォルシュの出生地および勤務地への現地調査が実現していない。上述のとおり、現地調査に行けなかったその時間をウォルシュ作品の精読や分析に割くことができたとは言え、2023年度が本研究課題の最終年度であることを勘案すれば、進捗状況は「遅れている」と評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる2023年度の夏季休業期間もしくは春季休業期間初期に、果たせぬままの懸案となっている北アイルランドにおける現地調査を行い、ウォルシュに関する伝記的資料の発見につなげたい。なお、現地調査で予定通りの成果が得られない場合のことを想定して、アイルランド共和国の国立図書館における既存の伝記的資料を再確認することで対応したい。 また、当初計画ではジョイス作品とウォルシュ作品を1つずつ比較する論考をまとめる予定であったが、それが遅れている現状を鑑み、ウォルシュ作品を複数扱う論考を先にまとめ、後にジョイスとの比較を行うことで研究成果を確保することも検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で北アイルランドでの現地調査が実施できなかったことに加え、国内の複数の学会もオンライン開催になったため、旅費の支出がなくなった。 次年度は、北アイルランドでの現地調査を実現し、対面開催される国内学会にも参加するため、これらに関わる旅費として使用する。
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