2022 Fiscal Year Annual Research Report
Creativity and the Culture of Fame in Early American Literature
Project/Area Number |
19K00414
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 善成 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60364139)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 友情 / 共感 / 個人主義 / アメリカン・ルネサンス / ノスタルジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は当初2021年度を最終年度としていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響から進捗が遅れ、研究期間を一年間延長した。これに伴い、2022年度から始まった新しい研究計画「19世紀アメリカの友情論における個人主義と共感の相克に関する研究」(基盤研究(C) 2022~2024年度)と同時進行させることになった。これは本研究計画の成果から発展して生まれたプロジェクトであり、したがって2022年度は本研究計画をまとめ、新研究計画へとつなぐ移行の年となった。 本研究計画から新研究計画に持ちこされたテーマは、19世紀アメリカ文学における「友情」の概念だった。2022年度は、アメリカ超絶主義者たちの友情論に、ブルックファーム等、当時の共助の思想と実践の文脈を与え、彼らの友情論がいかに個人主義と共感の文化の相互干渉によって特徴づけられていたかを考察した。この議論は2023年4月22日、第39 回日本アメリカ文学会中部支部大会のシンポジウムにおいて「共感の倫理--19世紀アメリカのユートピアニズムと権威主義」と題して発表する(本報告書を執筆段階で発表済み)。 同じくアメリカ文学における「友情」をテーマにした論考として、中・四国アメリカ文学会第50回大会シンポジウム(2022年6月11日)において、「タヒチのアメリカ人--ヘンリー・アダムズ『アリイ・タイマイの回顧録』における少数民族への同一化と郷愁」を発表した。アダムズは 滅びゆくタヒチの少数部族に政治的な影響力を失いつつあった自らの一族の姿を重ねるとともに、より複雑化する19世紀末から20世紀の人間関係・国際関係に対し、親密な友情の物語を提示することでささやかな抵抗を試みた。 その他、エマ・ウィラードの『アメリカ合衆国史』における視覚イメージと記憶術との関係に関する研究会報告も行った。
|
Research Products
(6 results)