2019 Fiscal Year Research-status Report
第一次世界大戦終結100周年のために:21世紀英語文学と他者の記憶/記憶の他者
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19K00417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
霜鳥 慶邦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (10400582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 第一次世界大戦 / イギリス / 英語圏文学 / トルコ / ブレグジット / 9/11 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、次の研究活動を中心に進めた。①8月から9月にかけて、トルコのガリポリ半島にて、第一次世界大戦の記憶に関する現地調査を行った。ミュージアム、戦跡、墓地、記念碑での調査をとおして、おもに、ガリポリの戦いをめぐる、トルコとオーストラリアの記憶のあり方について、貴重な情報と資料を得ることができ、研究の射程を非英語圏へと拡大するための基盤作りができた。②第一次世界大戦の記憶に関連するかたちで、Ian McEwanのSaturdayとAli SmithのAutumnについての考察を進め、12月に開催された研究会にて、ポスト9/11文学からブレグジット文学への軌跡の特徴と、現代文学と第一次世界大戦の記憶の関係について発表し、意見交換を行った。③そして最大の活動内容として、これまでの研究成果のすべてを単著書にまとめる作業を進めた。著書では、第一次世界大戦100周年をめぐる世界的動向を踏まえた視座から、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ベルギー、パキスタンの文学・文化を論じ、さらに、今世紀の様々な事象(9/11をはじめとする世界諸都市でのテロ事件、イラク戦争、アフガニスタン戦争、中東情勢、トランプ政権の誕生、イギリスのEU離脱問題、移民・難民問題など)をも議論の射程に収め、現代における第一次世界大戦の記憶の諸相を多角的に明らかにする予定である。著書は、『百年の記憶と未来への松明(トーチ)ーー二十一世紀英語圏文学・文化と第一次世界大戦の記憶』というタイトルで、2019年7月に松柏社より出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコでの現地調査によって、研究の射程を非英語圏に拡大するための基盤作りができた。また、第一次世界大戦の記憶と、ポスト9/11文学、ブレグジット文学の関係を明らかにすることで、研究の射程をさらに拡大することができた。以上の理由から、研究はおおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一次世界大戦における周縁的存在(中国人労働者、アルメニア人、インド兵、アラブ兵、カナダ先住民、オーストラリア先住民など)に注目して研究を進めていく予定であるが、新型コロナウィルスの影響により、現地調査が困難になることが予想されるため、状況を慎重に考慮して、研究計画を検討していきたい。 また、現在執筆中の単著書の中に、本研究課題の成果も含めることになったため、本研究課題の成果をどのようにまとめるか、再検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
研究環境改善のためにデスクトップパソコンを購入予定であったが、目的の製品の発売が翌年度となったため、翌年度に購入する予定である。
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