2022 Fiscal Year Research-status Report
White-life Novels in the Post-WWII Period and the African-American Literary Tradition
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19K00420
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永尾 悟 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80389519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフリカ系アメリカ文学 / 白人性(ホワイトネス) / 黒人性(ブラックネス) / エスニシティ / ホワイト・エスニック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アフリカ系アメリカ人作家による白人主人公の小説、いわゆる「ホワイトライフ小説」について、20世紀転換期の先駆的作品の流れを踏まえながら、隆盛期とされる第二次世界大戦後の作品を読み解き、同時代の人種言説との呼応性と文学的伝統との交差性を探るものである。その際、当時の雑誌や文学研究書などを紐解き、この時代におけるアフリカ系アメリカ文学をめぐる批評的意識とホワイトライフ小説への評価を検証する。 2022年度は、James Baldwinの初期作品の捉え直しを行うため、第1作目の小説Go Tell It on the Mountain(1953)における都市と黒人アイデンティティの問題を考察するとともに、第2作目の小説Giovanni's Room(1956)におけるイタリア人表象についての研究を進めた。 Go Tell It on the Mountainに関する研究は、「「時間の外にある都市」ー『山にのぼりて告げよ』におけるハーレムと教会」という論文にまとめ、『都市と連帯-文学的ニューヨークの探究』(開文社)において発表した。Giovanni's Roomに関する研究は、「ホワイト・エスニックの「黒さ」ー『ジョヴァンニの部屋』におけるイタリア人存在 」という論文にまとめ、 『人文科学論叢』(熊本大学大学院人文社会科学研究部)第4号で発表した。 また、2023年度の研究準備として、イエール大学バイネッキ稀少図書館(コネチカット州ニューヘイブン市)、およびニューヨーク公立図書館ションバーグ黒人文化センター(ニューヨーク州ニューヨーク市)において、James Baldwinをはじめとするアフリカ系アメリカ人作家の原稿や未出版資料を閲覧、収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスによる渡航制限によって、アメリカでの資料調査の大幅な延期を余儀なくされ、論文執筆の計画を見直す必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の主な計画は、James BaldwinのAnother Country(1962)についての論文執筆を行うことである。論文の内容は、黒人登場人物のRufus Scottをめぐって関わり合う白人登場人物たちの人種的自己意識に焦点を当て、そこから1960年代前半までのBaldwin文学における白人性表象の特徴を明らかにする。さらに、構想メモやタイプ原稿に可能な限り目を通して作品執筆の経緯を明らかにし、Baldwinの人種認識がどのように変容したのかを探る。 Another Countryの論文執筆後、本研究の成果を総括する論文の執筆に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
本研究期間中に新型コロナウィルス流行に伴う渡航制限によって、アメリカでの資料収集の計画を見直す必要が生じた。次年度使用額をもとに2023年度中に資料収集を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)