2020 Fiscal Year Research-status Report
19世紀イギリス小説における女性の願望のプロットとテクストの権威の転覆の研究
Project/Area Number |
19K00425
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 淳 東北工業大学, 総合教育センター, 准教授 (10552755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | センセーション / 女性の願望 / ゴシック / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究では、一つには、前年度に日本英文学会東北支部第74回大会シンポジウムで口頭発表を行ったトマス・ハーディの詩の中の「男性の語る物語の権威を揺るがす女性幽霊の声」についての論を発展させ、論文を作成した。 また、ウィルキー・コリンズのセンセーション小説であるBasilに関する研究を前年度に引き続き行った。その研究成果については、本来は2020年度内に開催予定だった東北ロマン主義文学・文化研究会のシンポジウムで口頭発表をすることが決まっていたが、コロナの影響で研究会が中止になり、結果的に次年度に開催が延期となった。コリンズの小説についての研究自体はその後も順調に進めることができ、新たに論に組み込んだ「郊外」というテーマについても、ゴシックや女性の欲望という観点から論じることで興味深い成果が得られたと思われる。 一方で、当初は研究期間二年目に予定していたハーディの小説であるFar from the Madding Crowdの研究については、昨年度のコロナの影響で海外への書籍の注文が予定よりも遅れ、洋書や海外論文などの十分な資料収集ができなかった。したがって、次年度も引き続き資料収集を続けながら、「男性を主人公とするテクストの中での女性主導のプロット」というテーマをダーウィンの理論と絡めながら考察を進めていきたいと思っている。その研究成果については、まとまり次第早い時期での口頭発表あるいは論文作成を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要の項目でも触れたが、コロナの影響で口頭発表が予定されていた研究会の中止や海外からの洋書や論文などの研究資料の収集が遅れたため、研究計画にやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在のところ2021年7月に開催予定の研究会でのコリンズについての研究成果の口頭発表の準備、および論文作成を行い、またハーディの小説に関する研究を形にまとめながら、一方では、ニューウーマン小説に関する資料収集と作品分析のための研究ノートの作成等を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定していた学会のための旅費がコロナの影響で使用予定がなくなったためと、海外への書籍の注文が予定よりもできなかったためである。次年度は、早めに必要な書籍の海外注文を行うことで、十分な資料の購入ができるようにしたいと考えている。
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