2022 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀イギリス小説における女性の願望のプロットとテクストの権威の転覆の研究
Project/Area Number |
19K00425
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 淳 東北工業大学, 総合教育センター, 教授 (10552755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | センセーション小説 / コリンズ / ニューウーマン小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究実績の一つは、2021年7月17日(土)にオンラインで開催された第16回東北ロマン主義文学・文化研究会のシンポジウムで発表した原稿に加筆・修正して論文を作成し、その結果、『東北ロマン主義研究』(第9号)に「欲望の場としての郊外―『バジル』におけるコリンズのヴィクトリア朝小説の伝統的手法への挑戦―」というタイトルで論文を掲載することができたことである。この論文では、「郊外」と「物語の主導権」との関係に焦点を当てて、当時持たれていた郊外の平穏なイメージを崩し、逆にそこでは、他者の欲望の物語が主導権を持つことにより、主人公であるロンドンのジェントルマンのアイデンティティや、さらには家庭の天使の役割についても疑問に付されるという転覆の恐れがあることを論じた。 もう一つの研究実績は、ニューウーマン小説作家であるモナ・ケアードの短編小説“The Yellow Drawing Room”に関する論文を作成し、『東北工業大学紀要』(第43号)に掲載されたことである。その論文では、ケアードによる優生学や社会純潔運動などの当時の社会や政治への批判が、テクストの中では男女間の結婚をゴールとする従来の小説のコンベンションを内側から破壊する形で提示されていることを明らかにした。 今回の研究期間全体の成果に関しては、一つの研究テーマに沿った形で複数の論文を完成できたことで、テーマ自体の説得力や今後の研究の方向性についても十分に確認することができたと思われる。ただ、今回研究の成果の一部について、現在作成中のものも含め、まだ形にできていない内容もあるので、それについてはできるだけ急いで形にしたいと考えている。
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