2019 Fiscal Year Research-status Report
Rethinking Early American Literature from the perspective of Anglicization
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19K00429
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 憲一 東京理科大学, 理工学部教養, 准教授 (80548355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 英国化 / Anglicization |
Outline of Annual Research Achievements |
初期アメリカ文学を「英国化」という視座から再検討するための1次資料・2次資料の収集・整理・精読に主な時間を費やした。「英国化」とは「移民直後から継続的に英国化を推進した北米植民地は、独立革命に際して最も英国化された状態となる」という概念であるが、これは、北米植民地のアメリカとしての自意識の高まりが合衆国独立に結実するという初期米文学研究の前提を覆すものであるため、従来の文献をそのまま参考にできない場合の方が多い。そのため、本年度は、アメリカ合衆国議会図書館に2度、文献調査に赴き、広範囲な資料調査を行った。1次資料、2次資料とも、相当の点数を入手することができた。 また、出張先では、ジョージワシントン大学英文学科の研究者と再三にわたり研究集会を実施し、アメリカにおける最新の研究状況に関する知見を得ると同時に、当研究の視座に対して意見を交換した。それにより、次年度以降の研究の方向性がある程度、固まってきた。具体的には、グローバルな帝国主義システムの中におけるアメリカのあり方を浮かびあがらせるという視座である。 本研究は、初期米文学研究における「英国化」の概念の有効性を精査し、(1)北米植民地の文学は時間の進行と共にアメリカとしての自意識を高めてゆくという定説の妥当性を問い直し、(2)初期アメリカ文学における従来未検証の「英国化」の諸相を照射する、というふたつの作業を軸に展開するので、今後はこの作業仮説に基づいた資料の分類と精査を進めてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ合衆国議会図書館のリサーチシステムが改善され、利便性が飛躍的に向上した。また、2年目を迎え、研究の視座が定まってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまで通り、初期米文学研究における「英国化」の概念の有効性を精査し、(1)北米植民地の文学は時間の進行と共にアメリカとしての自意識を高めてゆくという定説の妥当性を問い直し、(2)初期アメリカ文学における従来未検証の「英国化」の諸相を照射する、というふたつの作業を軸に展開してゆく。また、必要に応じて、研究の枠組みそれ自体のポジティヴな方向への問い直しも検討したい。
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Causes of Carryover |
議会図書館のコピー費が実質無料化されたため、支出が抑えられた。
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Research Products
(1 results)