2023 Fiscal Year Research-status Report
Rethinking Early American Literature from the perspective of Anglicization
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19K00429
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 憲一 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (80548355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 初期アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、長らくコロナ禍により実施できなかった初期アメリカ文学を「英国化」という視座から再検討するための1次資料・2次資料の実地収集を行うことができた。アメリカ議会図書館では、当館の司書の助力を得て、満足のゆく資料調査を実施することができた。また、必要資料がニューヨーク市協会図書館にあることも判明したため、同図書館にも足を伸ばし、資料調査を実施した。コロナ禍を経て、大部分の資料がインターネットでの閲覧できるようになったが、やはり実地での調査で得られるものはは大きく、昨年度よりも進捗の速度が増した。同時並行的に、これまで収集した一次資料の精査・分類・体系化にも、一定の時間を費やした。具体的には、昨年に引き続き、「英国化」概念の精査および同時代資料からの多角的な再検討をおこなった。 「英国化」とは「移民直後から継続的に英国化を推進した北米植民地は、独立革命に際して最も英国化された状態となる」という概念であるが、これは、北米植 民地のアメリカとしての自意識の高まりが合衆国独立に結実するという初期米文学研究の前提を覆すものであるため、従来の文献をそのまま参考にできない場合 の方が多い。そのため、一次資料の読みを、二次資料の精査に基づいて、さらに精緻化してゆくプロセスを実践し、昨年度に引き続き今年度も月に一度開催している初期アメリカ研究会で 積極的に発表を行っている。 本研究は、初期米文学研究における「英国化」の概念の有効性を精査し、(1)北米植民地の文学は時間の進行と共にアメリカとしての自意識を高めてゆくという定説の妥当性を問い直し、(2)初期アメリカ文学における従来未検証の「英国化」の諸相を照射する、というふたつの作業を軸に展開するので、研究最終年度となる今年度はこの 作業仮説の総体的な検証を進めてゆきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長らくコロナ禍において実地のアーカイブ調査ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)各種資料の精読・分析することで当研究課題の作業仮説の検証を行う (2)これまで収集した資料の整理・分類を行う (3)論文の執筆、査読誌への投稿 (4)単著書の原稿の完成
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Causes of Carryover |
出張期間が業務多忙のため予定より短い設定となってしまったため。余剰分は資料収集費用に充てる。
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