2023 Fiscal Year Annual Research Report
世紀転換期における文化意識の変遷とアメリカ文学史の形成
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19K00431
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
貞廣 真紀 明治学院大学, 文学部, 教授 (80614974)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ文学史 / ハーマン・メルヴィル / ウォルト・ホイットマン / アメリカンルネサンス / ナサニエル・ホーソーン / ヘンリー・ディヴィッド・ソロー / 文化 / コスモポリタニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ文学の制度化の背景となる国内・国際的な文化状況や作家・知識人の活動をマッピングし、文化意識の変遷をたどる試みである。研究の進行に当たって3つのサブテーマを設定したが、2023年度は特に(1)アメリカ文学の制度化とコスモポリタニズム、(2)ニューヨーク知識人とメルヴィル・リヴァイバルについての研究および成果発表を行なった。 (1)については、東欧におけるアメリカ文学の位置付けに関する調査の成果をThe Polish Association for American Studies年次大会で口頭発表、また東大英文学会総会で講演を行なった。関連して、旧ユーゴスラヴィア移民でアメリカ詩人であるBiljana Obradovic氏を招聘し、東欧とアメリカ詩についての研究会を開催した。また、アメリカ古典文学の確立についての実証的研究を行った。具体的には、ジュリアン・ホーソーンの活動と文学史生成への影響を調査して共著に論考を寄稿した他、ウォルト・ホイットマンの自然観と世紀転換期のアメリカ文学観について再検証を行い、論考を出版した。また、スティーグリッツサークルの活動および文学雑誌Seven Artsの調査を通じて、視覚芸術におけるアメリカ文学の活用やニューメキシコのモダニズム運動について検証し、アメリカ文学会東京支部例会で口頭発表を行なった。(2)については、前年度までの研究成果を反映させ、米国メルヴィル学会機関誌LeviathanにAaron SachsによるLewis MumfordとHerman Melvilleの伝記についての書評を寄稿した。世紀転換期から1920年代にかけてのアメリカ文学史の形成について多くの知見を得られたのに加え、調査射程を冷戦前夜まで拡張することで、アメリカ文学を取りまく国際関係についてさらなる研究の展望と課題を得ることができた。
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