2019 Fiscal Year Research-status Report
Rereading Anais Nin as Palimpsest: After the Publication of the Unexpurgated Diary
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19K00432
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
矢口 裕子 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (30339931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 日記 / 自伝 / ジェンダー / セクシュアリティ / 女性文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アナイス・ニンの自伝的テクスト群(編集版日記、初期の日記、無削除版日記、フィクション、書簡等)をパリンプセストとして読み重ね、ジェンダー/セクシュアリティ研究、自伝研究、精神分析理論、親族研究等の知見を駆使し、21世紀のアナイス・ニン像を構築する試みである。 この数年、ニン研究の新たな資となる書籍の出版が、1次資料(Anais Nin, Trapeze. Anais and Joaquin Nin,Reunited)、2次資料(Anita Jarczok, Writing an Icon. Kim Krizan, Spy in the House of Anais Nin. Clara Oropeza, Anais Nin: A Myth of Her Own. Tristine Rainer, Apprenticed to Venus) ともに相次いだ。それは慶賀すべきことだが、2次資料に関していえば、作品・作家研究より人物論、知人による回想の類が多いのが実態である。 が、出版されたばかりの、ニンと父の往復書簡集Reunitedは本研究において決定的に重要な資料であり、今後精査・精読したい。 研究1年目に当たる2019年度は、上述の資料のほかにも、ニンを主要テーマとした最初のジャーナルSea Horse全8冊、The Winter of Artificeパリ版、House of Incest初版、関連研究領域の資料収集と整理、分析に時間を費やした。 成果としては、アナイス・ニン研究会のメンバーの共訳で、インタヴュー集『アナイス・ニンとの対話』が鳥影社より近く出版される予定である。また、2019年1月に出版した『アナイス・ニンのパリ、ニューヨーク』のパリ編を英語・フランス語でバイリンガル出版する企画があり、その英語訳を行い、追加の取材・資料収集をパリで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『アナイス・ニンのパリ、ニューヨーク』パリ編を英仏バイリンガル出版するという企画は、本研究課題採択後に始動したものである。そのための英訳作業、追加取材、仏訳者・編集出版者との交渉等に時間をとられたことは想定外の事態ではあるが、研究成果の発信という意義は大きく、本研究を豊かにするものと、積極的に捉えている。 文献の収集・整理・分析も、十全とはいわないまでも、おおむね順調に進んでいる。 コロナ渦の影響で、例年3月に開催するアナイス・ニン研究会が中止となったことは残念であった。
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Strategy for Future Research Activity |
無削除版日記以降のニン研究を再構築するための資料収集と分析をさらに進める。特に力を入れたいのが、編集版日記第1巻、無削除版日記第2巻、『人工の冬』パリ版、ニューヨーク版、新たに出版された往復書簡集Reunitedにおける父娘物語の読み解きである。 が、コロナ渦の影響があり、UCLA図書館等のアーカイヴリサーチを行えるかどうかわからないという心配はある。
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Causes of Carryover |
2020年に入ってから、コロナウィルスの影響で複数の学会が中止になった。そのため、学会出張費として計上した金額が残る結果となった。次年度以降も、海外でのリサーチ、国内の学会出席ともに、コロナの状況を見極めて判断することになるかと思う。
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Research Products
(1 results)