2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00436
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
森岡 裕一 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (20135635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 禁酒物語 / 家庭小説 / 感傷主義 / 離婚論争 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していたアメリカ出張による資料調査がコロナ禍によりまったくできなかったため、計画の見直しをせざるをえなかった。新たな資料発掘と調査は先延ばしし、それまで収集した資料の分析とその成果をまとめることに注力した。その結果、2021年10月に金星堂から『ボトルと涙ー19世紀アメリカ禁酒物語論』として研究書を出版できたことは大きい。これまでの研究の集大成だと自負しているが、それにより残された課題がより鮮明になり、今後の研究の完成に向けての道筋がつけられたと考えている。同書では、アメリカにおける酒文化の概略、禁酒運動とその中で禁酒物語が果たした役割、禁酒物語の黄金期である1840年代の主たる作品の解説と分析をはじめ、代表的作家、T.S.アーサー、ハリエット・ストウの作品分析、および、禁酒物語における離婚の扱い、女流禁酒物語作家の結婚観などジェンダーの視点からの分析を行った。禁酒物語の考察を通じて19世紀アメリカ社会全般の理解を深めるうえで、大いに寄与することを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の鍵をにぎる米国出張による資料収集が新型コロナウイルス蔓延のため実行できず、新資料の収集が全くできなかった点は痛手である。しかし、これまで収集した資料の分析を急ぎ、それをまとめて一冊の研究書に仕上げられたことは大きい。今後、資料収集を再開し、残された課題を追求することで、研究の完成にこぎつけたい。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ収束の兆しが見えれば、アメリカ出張を再開し、資料の発掘・収集を再開したい。アーサーと並ぶ禁酒物語の大家、ルシアス・サージェントに特に着目し、アーサーとの違いを考察する。また、禁酒物語におけるジェンダーの問題にも引き続き取り組み、その関連で、エリザベス・スタントン、フランセス・ウイラードら禁酒、女権運動家の活動も新たに射程に入れたいと考えている
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していたアメリカ出張がコロナウイルス蔓延により中止せざるを得なくなったため、旅費に計上していた支出が不要になった。また、出張の可能性をぎりぎりまで模索していたため、他の用途に転用が困難だったことにより、大幅な残金が発生した。次年度は、その分も活用し、さらなる資料収集のために有効活用したい。
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