2022 Fiscal Year Research-status Report
テレサ・ハッキョン・チャ研究―インターメディアルな文学とトランスナショナルな記憶
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19K00443
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| Research Institution | Hitotsubashi University |
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Principal Investigator |
井上 間従文 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (50511630)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | アメリカ文学 / トランスナショナリズム / 映画理論 / フェミニスト映画理論 / 現代詩 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は夏にPacific Film Archive, Multimedia Resource Center（アメリカ・バークレー市）を訪問しテレサ・ハッキョン・チャの映画・ビデオ作品および音源資料、さらにはチャに映画理論を紹介したBertrand Augst氏が実際に授業で使用したコースリーダー、そして1970年代中盤の上記Archiveの上映プログラムなどの資料を収集した。また４月にはチャのトランスナショナルな詩学がネーションとネーション言語の形象から逃亡するフォームを造形していたことを明らかにした論考をWiley-Blackwell社から刊行されたA Companion to American Poetryに寄稿した。５月にはサンフランシスコ州立大学School of Cinemaでのオンライン講演会に招へいされ、チャ独特の映画装置論について講演を行った。同講演では特にフランスの映画理論家・小説家のJean-Louis Baudryによるフロイトの夢読解を介した映画装置論(Cinematic Dispositif)と、その影響を受けたChaの映画装置論とを接続する議論を行った。また６月にはアメリカ比較文学会（オンライン）でチャの既存の社会的形式から逸脱するアフォルマルな美的形態についての発表を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずはコロナウィルス蔓延の状況下において勤務先大学が海外渡航を許可したのが2022年度夏であったため2019、2020両年度中に予定していた映像資料の調査をようやく行うことができた。これらの実際の整理と読解は今後の作業となるため若干の遅れが生じていると言える。
また米国の大学や学会での知的交流もオンラインでのそれに限定されてきたため、フィードバックの提供を受ける面において若干の遅れが生じている。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後はテレサ・ハッキョン・チャが1980年に刊行した映画論集Apparatusにおける「映画装置論」と、そこに収められた映画理論家のBaudryさらには映画作家であるMaya Derenなどとチャの映像・文学における方法論との比較に基づいた検証を行う。さらにはチャが色濃く影響を受けたマラルメとベケットの詩学とも比較を通した検討を行う。２０２３年度後半には具体的な成果発表の方法を研究協力者たちからのフィードバックの上で検討する。
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| Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症状況下の中で現地調査に大幅な遅れが生じたため、その後に予定している資料整理および読解さらには成果発表など全ての行程において遅れが生じているため。今年度はこれらの作業すべてを行う予定である。
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