2019 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ演劇における家族表象の歴史的変遷と文化的多様性に関する研究
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19K00450
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡本 太助 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (90523176)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ演劇 / 家族表象 / 歴史的変遷 / 文化的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究の初年度にあたる平成31年度(令和元年度)には、アメリカ演劇史およびアメリカにおける家族表象の変遷に関する基礎的文献の収集を行い、2年目以降の研究計画を練り、より精緻な研究テーマの設定を行った。 また具体的な研究としては、ミュージカルというジャンルにおける家族・家庭・ホームの表象およびそこに生じる問題点に関して、複数回の口頭発表を行い、研究の進捗を研究者のコミュニティに向けて報告した(日本アメリカ演劇学会第9回大会講演[2019年8月24日]、九州大学言語研究会例会[2019年10月3日]、日本英文学会第72回九州支部大会招待発表[2019年10月27日])。これらの研究発表については、本年度発行予定の学会誌に投稿し、論文として公表する計画である。 本課題研究開始前より継続的に進めている研究のうち、アフリカ系アメリカ人女性作家スーザン=ロリ・パークスに関する研究についても、平成31年度中に複数の場で口頭発表を行った(九州アメリカ文学会第65回大会研究発表[2019年5月11日]、大阪大学での講演[2019年8月26日])。その他、過去に行った研究発表とあわせて、令和2年度に少なくとも3本の論文にまとめ発表するべく、平成31年度中に資料作成等の準備を進めた。 最後に、令和2年度の研究活動の場として、同年度秋から冬にかけて開催予定の複数回のシンポジウムの企画に関わり、平成31年度中に打ち合わせと資料収集などの準備作業を行った(10月開催予定の日本英文学会九州支部大会シンポジウムおよび12月開催予定の日本アメリカ文学会関西支部大会フォーラム)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画を上回る研究発表の機会を得ることができ、その準備を通じて文献資料の分析および研究計画の具体化を好調に進めることができた。さらにこれらの研究活動の成果を論文として発表する計画も立てることができており、このペースを維持しながらさらに継続して研究を進めていくこととしたい。 その一方で、本研究課題以外の研究についても、シンポジウムの司会や論文査読などの形でかなりの時間を費やさざるを得ないという現状もある。そのため、本課題研究はおおむね順調に進展しているとは言えるものの、研究に対するエフォート率の調整などの点でさらに改善する余地があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、エスニック・マイノリティや性的マイノリティの作家あるいはそれらをテーマとして扱う作品を中心に、社会的・経済的要因によって生じる家族をめぐる問題を、植民地時代から現代にいたるまでのアメリカ演劇がどのように取り扱っているのかを分析する。特にエイズや精神疾患など、病が家族やそれ以外のコミュニティに与える影響について、新型コロナウイルス問題の渦中にある現在の視座から考察を進めたい。 海外での研究および講師等の招聘については、移動制限などの推移を注視しながら慎重に実施を検討し、状況に応じて柔軟に研究方法および予算執行方法を調整するものとする。また国内出張についても、既に夏までの学会の中止が決まっているものが多く、また物品の購入についても手続きに制限がある状況をふまえ、年度後半に集中的に予算を執行する計画を立てておくようにする。
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Causes of Carryover |
年度末の図書等の物品購入に関して未確定な部分があり、残額に余裕を持ち執行した結果、1万円あまりが次年度使用額として残った。この次年度使用額については、翌年度分の物品費に繰り入れるものとする。
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Research Products
(4 results)