2022 Fiscal Year Research-status Report
History of American Sentimental/Domestic Novels
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19K00452
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
田邉 千景 学習院大学, 文学部, 教授 (10316812)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、ルイザ・メイ・オルコットとヘンリー・ジェイムズの影響関係を分析することによって、アメリカ感傷/家庭小説がアメリカ近代リアリズム小説の形成に与えた影響を明らかにすることを目指している。過去2年間コロナ禍の影響で、研究対象となるアメリカの文書館や図書館の閉鎖が続いたため渡米しての資料調査が実施できなかったが、当該年度は渡米し資料調査を行うことができた。 主たる目的の図書館は閉館していたため、それ以外の図書館を利用して、オルコットとジェイムズだけでなく、ハリエット・ビーチャー・ストウ、スーザン・ウォーナー、イーディス・ウォートンに関する資料も収集した。その結果、より歴史的に長いスパンおよび多角的な視点から感傷/家庭小説の展開について考察することになった。従来、ジェイムズ以外の女性作家はのちに大衆小説というジャンルで分類されるような、主として女性読者を対象とした日常の細部を描く小説を発表することで、近代リアリズム小説の基礎を築いていったとみなされているが、オルコットを始めとする女性作家の作品にも、のちにジェイムズが確立したといわれている心理的なリアリズム描写に類似した描写があることが明らかになった。 次年度は、上記のような近代リアリズム小説、またそれ以降のモダニズムにおける意識の流れのような心理描写の素地は、ジェイムズよりも前の女性作家の感傷/家庭小説に見出すことができるのではないかという見地から、オルコットを含めた女性作家の作品の心理描写のリアリズムについてさらに分析を進めることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナによる規制のため、目的としていた資料収集が果たせなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカの文書館や図書館が部外者にも開かれてきたので、夏季休業などを利用して資料調査を実施して、これまでの遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で計画していたようには海外での資料収集が実現できず、次年度に改めてその計画を実施するため。
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Research Products
(1 results)