2021 Fiscal Year Research-status Report
Representing Sexual Difference and Body: Kate Chopin and Women
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19K00455
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
佐々木 真理 実践女子大学, 文学部, 教授 (30297436)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 女性作家 / 優生学 / ユートピア / 女性誌 / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ケイト・ショパンと同時代の女性作家、及び、そのあとに続く女性作家たちを取りあげ、19世紀後半からアメリカ社会に大きな影響を及ぼした優生学とユートピア思想との関連性に焦点をあて資料の収集と分析、考察を行った。特に、ショパンが作品を発表した雑誌Vogueにおける女性の身体表象と言説との関りを検証することで、女性の理想的な身体イメージの形成と再構築に、女性誌が大きな影響を果たしたことがわかってきた。また、この時代に広く執筆されるようになったユートピア小説において描かれる、理想的な人間の精神や身体のあり方に優生学思想が大きく関わっていること、ユートピア小説を執筆した女性作家たちが、ジェンダー規範を乗り越える理想の女性像を追い求めた結果、優生学思想に大きく影響されることで、社会的ジェンダー規範を問い直しつつも、ある側面では規範を再強化するような女性たちを作品内に描いてしまっていることが明らかとなった。さらに、そのようなユートピア思想を、ショパンやギルマンのあとの世代の女性作家たちがどのように捉え、批判的に再読しようとしているのか、その試みを跡付ける作業に着手した。具体的には、20世紀前半に活躍した女性作家メアリ・マッカーシーが、1930年代に関りを持つようになった共産主義者たちとその思想に対し、どのように批判的なまなざしを向け、進歩史観的な性のあり方を拒否し、異なる女性像の模索を試みたかを検証した。これは、アメリカの女性作家の作品における女性像の表象の変遷を通時的に捉えなおすという意義を持ち、本研究の目的を達成するために非常に有効な試みであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響により、海外での資料収集・調査を行うことが難しく、また、国内においても緊急事態宣言等により研究機関を訪れることが困難な状況が続いたため。インターネットによる資料収集に努めたが、思うようにはかどらなかった。さらに、学内における公務の負担も増大したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新型コロナウィルス感染症の影響が緩和するようであれば、海外での資料収集・調査を行い、ケイト・ショパンを中心とする女性作家たちの貴重な一次資料の分析を進めていきたい。また、エドウィン・ブラックによる優生学運動に関する浩瀚な研究書を参照することで、優生学思想に関するさらなる理解を深めたい。また、ユートピア思想との関連についても、ユートピア文学と女性作家たちの関連を検証することで引き続き考察していきたい。
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Causes of Carryover |
アメリカへ資料収集のため出張する予定が、新型コロナウィルス感染症拡大のため困難となり、請求予定だった旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、アメリカへの資料収集のため出張し、旅費として使用する計画である。
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