2020 Fiscal Year Research-status Report
Transfiguration of Jacobean Kingship and Mythological Emblems
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19K00456
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 教授 (10407611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エンブレム / ヘンリー・ピーチャム / 王権表象 / 初期近代英国の視覚文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に続いてヘンリー・ピーチャムのエンブレム集『ブリタンニアのミネルヴァ』(1608)を中心に、ジェームズ一世とヘンリー皇太子の表象を考察した。とくにピーチャムが作成した3種のエンブレム手稿本において、図像とモットーが変化し、よって詩文の内容も変化するエンブレム57番を分析した。このエンブレムは、「急いては事を仕損じる」という伝統的な金言に由来する。ピーチャムが高く評価したジェフェリー・ホイットニーの『エンブレム選集』(1586)のエンブレム185番でも同じモットー、「書いたものはたゆみなく校訂すべし」というエンブレムがある。しかしピーチャムとは図像が異なる。ピーチャムのエンブレムは、ジェームズ一世がヘンリー王子にあてた助言集、『王の贈り物』に基づいている。そこで、このエンブレムは書いたものを慌てて活字にしてはならないということを助言する、文学に造詣の深かった王の一面がよく示されているエンブレムとなっている。王の主旨をくんで、図版でピーチャムは羽ペンをもつザリガニなど甲殻類を描き、栄光を表象する羽ペンに、脱皮して成長するザリガニなどの甲殻類を組み合わせ、後世まで残る書物は、何度も校訂をするようにという主旨と合うよう、エンブレム図像を工夫して作成した。このようなエンブレムから、パトロンである王の表象を見ることが可能であろう。 さらに、ピーチャムが参照したホイットニーの『エンブレム選集』におけるソースの同定作業を行い、アルチャートのエンブレムのラテン語モットーとの比較を調査した。 こうした初期近代英国のエンブレムを中心とした視覚文化における王権表象について、書籍にまとめる準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も新型コロナウィルスの感染拡大のため、英国への渡航が不可能であったため、大英図書館およびオクスフォードのボドレー図書館所蔵のピーチャムのエンブレム手稿本の調査を十分進めることができなかった。そのため、関連する当時のmythographyについての考察も進められず、全体として研究の展開がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ピーチャムが参照したホイットニーの『エンブレム選集』のソースの同定をアルバイト一名の協力でラテン語モットーから調べた。アルチャートのエンブレムとの同定調査が三分の一強進んだが、それをさらに発展させ、ほかのエンブレム作家の調査も行い、充実させたい。 今後、コロナの感染状況が改善したら、大英図書館およびオクスフォードのボドレー図書館にてピーチャムのエンブレム手稿本の調査を再開し、印刷本となった『ブリタニアのミネルヴァ』との比較研究を進める予定である。また、ステファン・ベイトマンなどのmythography関連の第一次資料の収集と整理も行いたい。
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Causes of Carryover |
研究に必要な英国の大英図書館、オクスフォードのボドリ―図書館所蔵のエンブレム手稿本の調査を行うための旅費を計上していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、英国での調査ができなかった。 新型コロナウィルスの感染が収束した場合は、英国に出張し、大英図書館、オクスフォードのボドレー図書館での調査を行う予定である。
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