2020 Fiscal Year Research-status Report
Jack B. Yeats and Vernacular Culture: Representation of Popular Entertainment Cultural Activities
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19K00457
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三木 菜緒美 (服部菜緒美) 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20461535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Jack B. Yeats / 大衆娯楽文化 / アイルランド文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、調査及び研究が難航すると予想はしていたが、その予想を遥かに超え、膨大な量の校務をこなさなければならなくなったため、調査も研究も思うようには進まなかった。 計画では、1) 2020年2月にアイルランド国立美術館にて収集してきた第一次資料を分析し、2) ジャック作の演劇・小説などの文学作品を読み進めることとしていた。2) のジャック作の演劇は読み進められたが、それ以外の項目には時間を当てることができず、また劇作品に関してもきちんとした分析はこれからである。また、2020年10月に発表を予定していたIASIL JAPANの学会は、翌年度へ延期となり、口頭発表や論文発表などの成果を上げることができなかった。 一方、大衆娯楽文化に関する資料、特にサーカスやパントマイム(ハーレクイン、クラウン)に関する資料は集まってきており、サーカスやパントマイムの隆盛と、アイルランドにおける劇場演劇の歴史との関わりが少しずつわかってきた。これらは、明確なプロットを見出すのが困難であり、かつ繰り返しサーカスやクラウンが取り上げられるJackの演劇やその他の作品を理解する上で、またアイルランド文芸復興運動とJackの関わりを考える上で重要な鍵となると思われる。これら大衆娯楽文化を文脈としたJack作品の位置付けの可能性を検討するため、本課題については今後さらに調査・分析していく必要がある。 また、研究期間の後半において第一次資料として入手・調査する予定であった雑誌『パンチ』に掲載されたジャックのイラストのコレクションを、2020年度においてほぼ全て入手することができたのは大きな成果であり、今後分析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、膨大な量の校務をこなさなければならなくなったため、調査や研究の時間がほとんど取れない状況であった。計画では、1) 2020年2月にアイルランド国立美術館にて収集してきた第一次資料の分析、2) ジャック作の演劇・小説などの文学作品を読み進めることとしていた。2) のジャック作の演劇は読み進められたが、それ以外の項目には時間を当てることができなかった。ただし、翌年度以降に第一次資料として海外調査で入手する予定であった雑誌『パンチ』に掲載されたジャックのイラストのコレクションを、2020年度においてほぼ全て入手することができたのは大きな成果であった。 以上の理由により、現在までの進捗状況はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
少なくとも今年度までは新型コロナウィルスの影響があると予想される。したがって、2021年度も基本的には国内にてできる研究を進めていくこととする。海外調査が可能となった場合は、2月あるいは3月に海外調査を再開することとする。 まずは、1) 昨年度にできなかったジャックの小説を読み進め、大衆娯楽作品がどのように扱われているかを分析・考察する。2) 大衆娯楽文化については、ジャックのイラスト・絵画・演劇でしばしば取り上げられているサーカス・パントマイム(ハーレクインやクラウン)に焦点を当て、19世紀後半から20世紀にかけてのこれらの大衆娯楽文化の歴史・概要をまとめていく。特にアイルランド演劇に関わるところでは、サーカスクラウンやステージアイリッシュマンとの関わりの歴史を抽出することで、Jack作品の意義の考察につなげていく。 2021年10月に予定されているIASIL JAPAN学会では、シンポジウムにてJackの演劇作品及びイラスト・絵画を取り上げて発表し、その後論文として出版することを目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、計画していたアメリカでの資料収集ができず、旅費の支出が全くなかったため、次年度使用額が生じてしまった。これは、次年度に研究図書等の購入費として使用する。また、状況が好転し次第、アメリカおよびアイルランドでの資料収集を行い、研究を進める予定である。
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