2019 Fiscal Year Research-status Report
State-of-the-Nation Plays and British Theatre in the 1970s
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19K00463
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川島 健 同志社大学, 文学部, 教授 (60409729)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス演劇 / 国家 / 国民 / 1970年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は"John Osborne’s Look Back in Anger and Generational Discontinuity"という論文を、論文集'Experienc'd Age Knows What for Youth Is Fit'?: Generational and Familial Conflict in British and Irish Drama and Theatre (Peter Lang)に発表することができた。この論文は、戦後のイギリス演劇の方向を決定したOsborneの代表作を、世代間の軋轢という観点から論じたものであり。70年代の"state-of-the-nation play"を準備したという見方を提示した。"State-of-the-nation play"は「国家」と「国民」のズレに焦点を当てたものだ。Look Back in Angerは、1950年代のイギリス演劇を支配した家庭内社会主義リアリズムの限界を示しており、より大きな議論のプラットホームが必要であることを示したものとして評価した。 また、J. B. Priestleyに関する論文を2本発表し、学会発表を1回行った。Priestleyが第二次世界大戦時に残した、戦意高揚を意図した作品が、狭隘なEnglishnessの強化に終始し、それが家族という枠組みを単位にしたことを論じた。そのような家族とEnglishnessの再評価が戦後の家庭内社会主義リアリズムを用意したことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
校務の忙しさにより、十分な研究時間が確保できていないことが主原因である。また研究に関しては本論よりもその前提部分の論文執筆に予定以上の時間がとられてしまったことも遅れの理由としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは校務の効率化を図り、研究時間を確保する必要がある。また研究発表や調査のために海外出張に行く予定であったが、コロナ禍のため難しくなった。書籍の購入や複写の入手によって代補していきたい。また、研究全体のバランスを考え、核となる部分の研究を進め、論文執筆に多くの時間を割きたい。
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Causes of Carryover |
校務が忙しく予定されていた2019年8月の出張ができなくなってしまった。また、2020年3月に予定されていた出張もコロナ禍のために控えることにした。以上2つの理由により次年度使用額が生じてしまった。 まだ海外出張の予定を立てるのが難しい。書籍購入(60万円)とアーカイブからの資料取り寄せ(10万円)によってインプットを充実させたい。また英語論文のための英文校閲費(20万円)と、資料整理のための文具の購入費(5万円)にあてたい。
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