2019 Fiscal Year Research-status Report
Global Emerson, starting from Suzuki Daisetsu
Project/Area Number |
19K00464
|
Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
高梨 良夫 長野県立大学, その他部局等, 特命教授 (50163225)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エマソン / 鈴木大拙 / アメリカ超越主義思想 / ソロー / 大乗仏教 / キリスト教神秘主義思想 / ヤコブ・ベーメ / コールリッジ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年9月には日本ソロー学会誌『ヘンリー・ソロー研究論集』に書評 "Takayuki Tatsumi, Young Americans in Literature: The Post-Romantic Turn in the Age of Poe, Hawthorne and Melville" を掲載し、アメリカ・ルネッサンス文学の研究成果を批評・紹介した。同年11月にはアメリカ・サンディエゴで開催された Pacific Ancient and Modern Language Association 年次大会で、口頭発表“Emerson's God-within and the Buddhist Buddha-womb”を試み、エマソンの「内なる神」と大乗仏教の如来蔵思想との比較考察を通じて、両思想の類似点・相違点を指摘し、エマソン思想をグローバル・環太平洋的視点から考察し、アメリカ人研究者と意見交換を行った。また2020年3月には長野県立大学『グローバル・マネジメント』誌に研究論文「アメリカ超越主義と鈴木大拙―エマソンからソローへ」を掲載し、鈴木大拙の大乗仏教論とアメリカ超越主義思想の比較考察をエマソンからソローにまで広げた。さらに原則として毎月東京で開催されている比較思想研究会に参加し、エマソンをキリスト教神秘主義思想の流れに位置付けようと試みた。また日本ソロー学会、日本英文学会、日本アメリカ文学会、比較思想学会などに参加し、英米文学・思想研究者、比較思想研究者などと本研究課題について意見交換をした。さらに本研究に必要なエマソン関係、大乗仏教関係の文献などを購入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い、2019年11月にはアメリカ・サンディエゴで開催された Pacific Ancient and Modern Language Association 年次大会で、口頭発表“Emerson's God-within and the Buddhist Buddha-womb”を試み、エマソンの「内なる神」と大乗仏教の如来蔵思想との比較的考察を通じて、両思想の類似点を指摘し、エマソン思想をグローバル・環太平洋的視点から論じた。また2020年3月には長野県立大学『グローバル・マネジメント』誌に研究論文「アメリカ超越主義と鈴木大拙―エマソンを超えて」を掲載し、アメリカ超越主義思想と鈴木大拙の大乗仏教論の比較考察をエマソンからソローにまで広げて論じた。このようにエマソンの思想の受容と影響についてグローバルな視点から考察する研究成果を発表している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究計画は、新型コロナウイルス感染拡大のため渡米の可能性は不確実ではあるが、可能ならば夏休みを利用して、アメリカ・ハーヴァード大学図書館を中心に研究調査を行い、エマソンの超越主義思想と鈴木大拙の浄土系仏教論の比較考察を試み、その研究成果の日・米の学会誌・学術誌への掲載の可能性を探る。またエマソンの思想に対するイギリス・ロマン派の詩人・批評家 S・T・Coleridge を媒介とするドイツのキリスト教神秘主義思想家 Jacob Boehme の影響に関する研究論文を執筆し、エマソンを欧米のキリスト教神秘主義思想の流れに位置づけようと試みる。さらにエマソンに対するドイツ観念論哲学者 Schelling を媒介とするベーメ思想の影響についても研究を広げる計画である。このようにしてエマソン思想の受容と影響に関して、グローバル・環太平洋・環大西洋的な視点から考察する研究を続行する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、実現は不確実ではあるが、渡米が可能ならば、2020年夏季にアメリカ・ハーヴァード大学各図書館を中心に研究調査活動を行う計画のため、2019年度分の残額177,635円を2020年度使用分として先送りする必要性があるため。
|