2021 Fiscal Year Research-status Report
Global Emerson, starting from Suzuki Daisetsu
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19K00464
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Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
高梨 良夫 長野県立大学, その他部局等, 特命教授 (50163225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エマソン / 鈴木大拙 / アメリカ超越主義 / 大乗仏教 / 比較思想 / スウェーデンボルグ / シェリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2020年度に実施出来なかった、渡米し本研究課題に関してハーヴァード大学各図書館を中心にした研究調査活動、米国のエマソン研究者等との意見交換を計画していたが、新型コロナ感染拡大のため断念し、研究実施計画を変更せざるを得なかった。2021年5月にはOnline形式で開催された日本英文学会全国大会において、「後期エマソンに対するシェリングの影響」と題して、ドイツの超越論哲学者シェリング著『人間的自由の本質』の後期エマソンの思想の変容に対する影響について口頭発表し、その要旨は日本英文学会全国大会Proceedingに掲載された。また英文論文“Ralph Waldo Emerson's Transcendentalist Religious Thought and Daisetsu Suzuki's Pure Land Buddhism”を執筆し、エマソンの超越主義的宗教観と鈴木大拙の浄土系思想論に関する比較考察を試みた。『グローバルマネジメント』第5巻(長野県立大学、2021年7月)に掲載した論文「スウェーデンボルグの〈照応〉の教義のエマソン、鈴木大拙への影響」においては、スウェーデンボルグの「照応」の思想のエマソン、鈴木大拙への影響についての考察を試みた。さらに毎月2回Onlineで開催される比較思想研究会に参加し、ヤコブ・ベーメを中心とした独語文献を精読し、また本研究課題に関して研究会参加者との意見交換を試みた。本年度は米国での研究調査、国内外での学会・研究会参加のための旅費の支出がなく、エマソン、アメリカ思想・文学、ドイツ思想、大乗仏教関係の文献を中心に購入した。以上様々な制約のなかでも、鈴木大拙の仏教思想との比較を中心に、本研究課題であるグローバルな視点からエマソンの思想の受容と影響に関する考察を試みる研究を一定程度は実施することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に実施出来ず、2021年度での実施を強く希望して計画していた米国での研究調査活動、日本、米国の学会への対面形式での参加、本研究課題に関する日本人、米国人の研究者との意見交換が、結局コロナ感染拡大のために実現出来ず、当初の研究計画の実施を断念し、変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究の推進計画については、6月に比較思想学会全国大会において「エマソンの超越主義思想と王陽明の〈心即理〉説」を口頭発表することが既に決定済みで、発表に基づいて執筆する論文の学会誌への掲載の可能性を探る。2020年度、2021年度に実施出来なかった米国での研究調査、日本、米国の学会への対面での参加、本研究課題に関する日本人、米国人の研究者等との対面での意見交換を実現するための方策を探る。2020年度の米国の学会での口頭発表に基づいて執筆した英文論文 "Emerson's Transcendentalist Religious Thought and Daisetsu Suzuki's Pure Land Buddhism" を米国の学会誌に、また論文「シェリングの後期エマソンへの影響」を日本の学会誌に掲載する可能性を探る。さらに本研究課題のまとめの作業に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
2021年度当初は、2020年度に実施出来なかった、米国に渡航し、本研究課題に関してハーヴァード大学各図書館を中心にした研究調査活動、米国のエマソン研究者等との意見交換を計画していたが、新型コロナ感染拡大のため、2020年度と同様に断念し、研究実施計画の変更を余儀なくされた。また参加した学会、研究会の全てがOnline形式で開催されたため、旅費の支出がなかった。支出は主としてエマソン、ドイツ思想、東洋思想、大乗仏教関係の文献購入を中心とする物品費とその他の費用のみだったため、次年度に繰り越さざるを得なくなった多額の残額が生じた。2022年度はこれまで計画していたにもかかわらず実現出来なかった、米国での研究調査活動、日本、米国の学会、研究会への対面での参加の可能性を探りたい。
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