2020 Fiscal Year Research-status Report
ヌーヴォー・ロマン以降の現代フランス文学史の構築--小説、詩、批評を中心に
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19K00465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑田 光平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80570639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カペル マチュー 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70896414)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス語現代文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、フランスから3名の研究協力者を招聘し、現代フランス語文学をめぐる国際シンポジウムを開催する予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大のためシンポジウムそのものを中止することになった。しかし、日本フランス語フランス文学会による支援もあって、学会誌『Littera』に現代フランス語文学をめぐる小特集を組むことができた。セルジー・ポントワーズ大学のクロード・コスト、グルノーブル・アルプ大学のリダ・ブーラービ、ソルボンヌ大学のクリスチャン・ドゥメ、筑波大学の小川美登里がそれぞれ異なる視点から現代フランス語文学についての論考を発表し、桑田はその全体の紹介文を掲載した。災厄の時代における文学の役割やポストコロニアル理論とフィクションについてなど、現代的な問題について検討がなされた有意義な小特集だった。 また、『図書新聞』や『ブリタニカ国際年鑑』に掲載した、現代フランス文学に関する記事では、2019年度、2020年度のそれぞれのフランスの文学賞受賞作の紹介とそこから見えてくる現代フランスの状況について報告を行なった。 2020年9月に参加したオンライン・シンポジウムでは「パリに終わりはないのか En quete d'une ville(都市を求めて/都市の調査)」と題して、現代フランス文学におけるパリ表象について、5人の作家をとりあげて発表した。アポリネールやぺレックなどの過去の作家の手法やテーマを引き継ぎながら、グローバル化・ハイパーモダン化する都市パリを捉えるための新しい文学言語を創出する作家たちの姿を描きだすことを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィウルの世界的な感染拡大によって、海外渡航を断念せざるをえず、調査・インタビューがまったくできなかった。しかし、文献読解とりわけコンゴ共和国出身の作家アラン・マバンクの作品(詩、小説、エッセイ)の読解をすすめ、論文を執筆した(発表は2021年度の予定)。また、現代詩(ジャコテ、デュパンら)の文献読解も進められたので、論文の形にするよう準備中である。現在進行形の小説・詩・批評に関する研究は比較的順調に進められているが、ヌーヴォー・ロマン以降のフランス語文学史の構築にはまだ取り組めていないので、この点に関しては個別の作家の読解とは別に進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
パンデミック収束はしばらく先のことになりそうなので、今後はzoomなどを使ったオンラインでのインタビューや調査、ワークショップ・研究会の開催なども検討している。また、 引き続き、文献読解を進めながら、なるべく論文・著作などのアウトプットを増やしていく予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張(フランス、モロッコ、コンゴ共和国等)が新型コロナウィルスの世界的な感染拡大のため実施できず、また、海外からの研究者の招聘も同様の理由で不可能であったため、書籍等の購入くらいしか使用できなかった。次年度(2021年度)に関しては、現段階ではまだパンデミック収束の目処がたってはいないものの、年度後半にかけて、海外渡航が可能になれば、フランス、ベルギー、フランス語圏アフリカ諸国(コンゴ、セネガル、モロッコ)への出張を予定している。
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