2019 Fiscal Year Research-status Report
A comprehensive compilation of folklore culture founded on materials from Northern Russia: A proposal.
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19K00478
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
塚崎 今日子 北海道科学大学, 未来デザイン学部, 准教授 (20347727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野谷 葉子 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (70581784)
中堀 正洋 慶應義塾大学, 外国語教育研究センター(三田), 講師(非常勤) (70460087)
山田 徹也 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 講師(非常勤) (00750340)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 北ロシア / フォークロア / マルチメディア資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ロシア連邦アルハンゲリスク州上トイマ地区フォークロア調査(全5回)資料のマルチメディア資料集刊行に向け、2回のグループメンバー会議を挟みつつ、以下の作業を進めた。すなわち、①写真フィルム、カセットテープ、DAT上の資料をデジタル変換し、PC上で扱えるようにした。②グループメンバーのPC環境、使用ソフト、クラウド環境を整え、常に最新の情報を共有して作業を行えるようにした。③各調査資料を整理し、電子アーカイブを構築した。④最終的に刊行する予定のマルチメディア資料の概要、記事分担について概ね決定した。⑤ロシア人研究協力者の協力を得て、デジタル化された資料の文字起こし(ロシア語)を進めている。また、ロシア語に起こされた資料の和訳も開始した。 上記の作業と並行する形で、上記上トイマ地区調査資料に基づいて、それぞれが研究発表、論文執筆を以下のように行った。すなわち、塚崎は「フライパンを持つシュリクン考」という題目で口頭発表を学会で行った。熊野谷はロシアの雑誌『ジヴァヤ・スタリナЖивая старина』に論文「アルハンゲリスク州上トイマ地区日ロフォークロア調査(1990年代~現代)」を発表した(塚崎と共著)。また、熊野谷と中堀はそれぞれ、雑誌『なろうど』に論文を発表した。山田は、上掲雑誌『ジヴァヤ・スタリナ』に論文「ロシア人および日本人における善い霊と悪い霊のイメージ」を発表し、調査資料を援用しつつ、日本とロシアにおける精霊のイメージについて比較を行った。山田はまた、日本ロシア文学会において「現代に生きる家屋の妖怪信仰」というタイトルで口頭発表も行っている。 また、現地調査における成果や知見を生かしつつ、それぞれが専門に応じて『ロシア文事典』の項目執筆を担当した。熊野谷はこの事典の編集にも携わっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全資料のデジタル化、電子アーカイブの構築、グループメンバーの作業環境の整備などはスムースに進んだものの、ロシア語資料の文字起こしに予想外の時間がかかってしまっている。それは、特に古い資料は録音状態が良好ではなく聞き取りにくいこと、また、北ロシアが特に方言が発達した地域であり、独特の語彙や表現が多用されていることが主な理由である。当初は日本人グループメンバーのみで文字起こしを行い、ロシア人協力者にはチェックのみ依頼する方針であった。そのため、日本人のみで長らく文字起こしに取り組んだものの、負担が加重であることが判明し、計画案の抜本的な見直しを行った。その結果、年明けよりロシア人協力者に文字起こしのサポートを依頼することとした。その後は、以前よりは順調に文字起こし作業が進むようになり、2020年度にはより軌道にのった形で作業を進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度前半には、マルチメディア資料集に収める資料の文字起こし作業を終了させる。文字起こしされた資料の和訳を進める。 フォークロア資料以外にマルチメディア資料集に載せる記事を決定し、分担を決定し執筆を開始する。 アルハンゲリスク州上トイマ地区で現地調査を実施し、資料の不足部分を補い、インフォーマントあるいは家族の資料公開許可を取り、現地のロシア人協力者と協議を行う。これは研究計画段階では8月に実施する予定であったが、グループメンバーの予定が合わず、年度末3月に実施することとなった。しかし、新型コロナウイルス流行の影響もあり、状況によってはさらに延期の可能性もある。
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Causes of Carryover |
プリンタ用紙およびインク代を計上していたが、資料のデジタル化が進んだこと、オンラインストレージサービスやクラウドソフトを使用することが増え、会議や連絡において紙媒体を使用する機会が大幅に減ったことにより、それらを使用する機会が少なかった。また、HD、USB代を計上していたが、従来使用していたものが引き続き使用可能であったため新規購入しなかった。また、動画の編集ソフトを計上していたが、マルチメディア資料集に使用する動画の選定までいかなかったため、購入するに至らなかった。 未使用額は、マルチメディア資料集に載せる動画編集を行う際に使用する動画ソフト、および上トイマ地区への現地調査の経費等に充当する。
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Research Products
(7 results)
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[Book] ロシア文化事典2019
Author(s)
沼野充義、望月哲男、池田嘉郎、井上まどか、金山浩司、熊野谷葉子、鴻野わか菜、坂庭淳史、楯岡求美、乗松亨平他
Total Pages
886(74-75, 162-163, 184-185, 202-203他)
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4621304136