2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K00489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 勉 東北大学, 文学研究科, 教授 (40292180)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フランス文学 / 文学と美術 / ヴァレリー / ルアール家 / 文化史 / 第三共和政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は世界的な新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けた2020年度から2022年度まで、研究の中心となるフランス国立図書館西洋手稿部等におけるヴァレリー芸術論関連資料の現地調査を予定通り実行することがかなわず、日本国内での資料収集および情報収集、関連するテーマについての論稿の執筆や口頭発表に集中せざるをえなかった点は残念であった。国内での新型コロナウィルス感染症の扱いが緩和された2023年度(延長一年目)は、移動の自由がほぼ回復したが、研究代表者自身の学内業務多忙のため、十分な研究の執行ができなかった点、非常に忸怩たる思いであった。 本研究に直接関係する実績としては、2023年5月27日に慶應義塾大学日吉キャンパスで行われた日本ヴァレリー研究会における口頭発表「邦訳『評伝ポール・ヴァレリー』の生成-2008年7月の第1次翻訳計画から2023年5月の刊行まで-」、および、2023年6月に水声社より刊行されたミシェル・ジャルティ著、恒川邦夫監訳『評伝ポール・ヴァレリー』全3巻の分担訳が挙げられる(担当:第9章~第13章、第37章、索引整理)。なお、後者は第59回日本翻訳出版文化賞を受賞する栄誉を得た。その他、2024年3月に、日本ヴァレリー研究会発行の研究会誌『ヴァレリー研究』第11号誌上に、上記ヴァレリー研究会における口頭発表に基づく報告と、2022年11月のヴァレリー研究会における口頭発表に基づく書評論文(東京大学教授塚本昌則氏によるヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』の翻訳〔岩波文庫カラー版、2021年11月刊〕に関する書評論文)が掲載された。さらに、ヴァレリー研究会有志による読書会において、ウィリアム・マルクス編によるポール・ヴァレリー『詩学講義』全2巻(ガリマール、2023年1月刊)のなかのレオナルド・ダ・ヴィンチ論関連の講義について口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度、2021年度、2022年度の連続三年間は世界的なCOVID-19の蔓延による物理的な影響(移動の制限)を直接的に受けたため、本研究課題の屋台骨であるフランス国立図書館西洋手稿部等における現地資料調査を実施することがかなわず、国内での資料収集と情報収集、論稿の執筆や口頭発表等に集中せざるをえなかったこと、また、延長措置を受けた2023年度については、学内業務の多忙により、長期休暇時の現地滞在資料調査がかなわなかったことが、研究の進捗が遅延していることの理由である。こうした強い制限のなかにあって、本研究に直接関係するテーマでの学会発表や論文執筆等をいくつか実施できた点をよしとするしかないが、このたびお認めいただいた研究の再延長(延長二年目)の期間において、可能な限り、現地調査の機会を確保したいと考える次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
再延長研究が承認された本研究の2024年度においては、これまで実質的に不可能であったフ ランス国立図書館西洋手稿部等におけるヴァレリー芸術論関連資料の具体的な調査に早急に着手すると共に、資料調査で得た成果を論稿等の場で公にすべく努力する所存である。
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Causes of Carryover |
2020年度、2021年度、2022年度はCOVID-19による渡航制限措置の影響等によって、また延長一年目の2023年度は研究代表者の学内業務多忙によって、本研究の主要な支出項目である海外渡航費(フランス国立図書館西洋手稿部等における資料調査のための旅費)の執行が実質的に不可能であったことが、次年度使用額が生じた理由である。研究の再延長が承認されている次年度(2024年度)には、可能な範囲で、フランス現地における資料調査を行うことで、予算を執行する計画である。
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